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テンプレートを用いたERP導入方法とは?
テンプレートを活用するメリットを分かりやすくご紹介

個々の業界や業務プロセスに最適化されたテンプレートを活用することで、SAP S/4HANAのようなERPの導入を効率的に行うことができます。

今回のコラムでは、ERPのテンプレートについて。そして、テンプレートを活用するメリットについて解説します。

ぜひ、ご一読ください。

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INDEX



ERP導入の一般的な手順

導入テンプレートを活用すると、要件定義や実装など複数のフェーズでメリットを実感できます。まずは、一般的なERP導入プロジェクトの概要を整理しておきましょう。

企画・構想策定

ERP導入では最初期に企画・構想策定を行います。このフェーズでは自社の経営戦略や課題を踏まえて、導入目的の明文化を行います。

さらに、適用範囲の決定や製品の選定、ベンダーなど委託先の選定と計画、導入計画の作成などを通して、プロジェクトの大枠を決定します。

導入を成功させるには、システムのライフサイクルを見据えた最適なベンダー選びが欠かせません。

また、プロジェクトによっては導入する製品の知識を深めるために、トレーニングを並行して行う場合もあります。

要件定義

要件定義では、企画・構想策定で決定した事項を土台にしながら、システムのあるべき姿を描き出します。以下は一般的な要件定義フェーズのタスクです。

Fit&Gap分析

Fit&Gap分析とは、パッケージが持つ標準機能と導入先企業の業務プロセスや業務課題を比較し、その差を明確にする作業です。

変更しなくてもよい部分(Fit)と変更すべき部分(Gap)が明らかになることで、標準機能でカバーできる範囲とアドオン開発が必要な範囲が明らかになります。

業務プロセスの作成

Fit&Gap分析の結果、変更する必要があるGap部分の業務については、それぞれに対応策をまとめていきます。さらにFit部分と合わせて新しい業務プロセスを作成します。

また、業務で使用する用語の定義も同時に進め、認識の不一致が生じないようにすることも大切です。

非機能要件の決定

反応速度や操作性、保守性、移行しやすさといった非機能要件をまとめます。

ハードウェア関連の見積もりと調達

サーバーやPCなど、非機能要件の実現のために必要なハードウェアを見積り、調達を開始します。

近年はクラウドファーストの流れを受けてIaaSやPaaSを選択するケースが増えています。

導入

導入フェーズでは、まずERPパッケージをインストールしていきます。

ここでは初期設定のほかに、任意の設定項目にパラメータ設定を行います。次に標準機能ではカバーしきれない部分について「アドオン開発(追加開発)」を進めます。

アドオン開発ではスクラッチ開発のような手順で独自の機能を作りこむため、基本設計や詳細設計などに多くの工数が必要です。

開発作業が完了したあとは、単体テスト、結合テストや統合テストを行い、問題がないことを確認して本番環境への移送を行います。

運用

本番環境への移送適用で問題が生じなければ、ユーザー参加型の検収作業である「UAT(ユーザー受入テスト)」に移行します。

UATで問題が出なければリリース判定を経て本番稼働へと移行し、運用保守フェーズが開始されます。


ERP導入で発生しがちな課題

上記のような導入手順の中では、さまざまな課題が発生します。特に要件定義や実装では課題の発生率が高くなる傾向にあります。そこで、ERP導入で発生しがちな課題を見ていきましょう。

プロジェクトの肥大化

ERP導入で発生しやすい課題の1つが「プロジェクトの肥大化」です。

原因はさまざまですが、特に多いのは「企画・構想策定や要件定義のやり直し」など上流工程に由来するものでしょう。前述のように企画・構想策定では適用範囲を確定しますが、この範囲に誤りがあるとFit&Gap分析や要件定義にもやり直しが必要です。

また、要件定義のやり直しによってアドオン開発の領域が増えると、それに伴って実装やテストの工数も増大します。

こうして、上流工程で起こった修正が下流工程にも波紋を広げていき、プロジェクトの肥大化につながってしまいます。

これを防ぐためには、上流工程における適用範囲・導入計画・Fit&Gap分析などの精度を上げる必要があります。

しかし、上流工程に工数を割きすぎると必然的に下流工程が圧迫されるため、工数の配分が難しいところです。

導入後の運用が難しくなる

一般的に、標準機能を使用する割合が高いほど工数・工期は圧縮される傾向にあります。しかし、標準機能のみを利用した導入事例は多くありません。

日本企業の場合、「独自性の強い業務にシステムを合わせる」という意識が根強いことから、アドオン開発の併用が一般的です。

ERPパッケージの標準機能は最大公約数的な側面があり、すべての企業にFitするとは限りません。つまり、標準機能の割合を高めたとしても、用語や処理の定義・内容が微妙に異なることから業務進行が停滞する可能性があるのです。

また、導入前の検証が不十分なことで現場担当者のニーズに沿っていないケースも考えられます。

ERP導入で課題が発生する背景

このような課題が発生する背景には、2つの原因があると考えられます。

1つ目は「業種・業界に対する理解度の低さ」です。

ERPは多種多様な業種・業界に対応できるパッケージです。しかし、ERPの恩恵を受けるためには、業種・業界ごとの慣習や独自性を盛り込んだ機能の選定・実装が必要です。

的確な機能選定・実装には専門知識や業務プロセスに対する理解が求められます。

2つ目は「業務プロセスに合わせるための工数」です。

ERPの導入プロジェクトでは、業務プロセスにシステムを合わせる割合が高いほど、プロジェクト全体の工数が大きくなります。

また、上流工程の難易度も上昇するため、ある程度は「業務プロセスをシステムに合わせる」という意識が必要です。


ERP導入テンプレートの活用

これら2つの原因への対応策が「テンプレートの活用」です。

テンプレートとは、特定の業種や業務プロセスに対して、あらかじめ最適化されたパラメータ設定や独自の機能をまとめて提供するものです。

SAP S/4HANAをはじめとするERPパッケージには、数多くのパラメータがあります。これを一から設定するとなれば、非常に多くの時間と労力が必要です。

また、業種・業界特有の業務プロセスに合わせた追加開発にも工数がかかります。

そこで業種・業界特有の導入ノウハウが凝縮されたテンプレートを活用することで、導入にかかる時間や費用を削減できます。

日本のERP導入ベンダーは、化学品製造業向け、製薬業界向け、組立製造業向けなど、様々なテンプレートを提供しています。また、SAP社の次世代ERP「SAP S/4HANA」向けのテンプレートも登場しており、最新のERPが持つ処理性能とテンプレートの恩恵を同時に受けることが可能です。

近年はますます、ERP導入プロジェクトにおけるテンプレートの使用率が高まっています。各業界に最適化されたテンプレートの中から必要な業務シナリオや機能を選択することで、自社に合った適切な機能を導入できます。


テンプレート導入によるメリット

一般的なテンプレート活用のメリットとしては、以下が挙げられます。

短期導入

テンプレートを活用した導入では、プロジェクトの工期を圧縮する効果が見込めます。

一般的にERPの導入プロジェクトは、オンプレミス型で半年から1年程度の期間が必要です。

クラウド型であれば3カ月~半年での導入が可能ですが、独自要件が多い場合には長期化する可能性もあります。一方、テンプレートを用いた導入では、オンプレミスでも数カ月での導入が可能になっています。

テンプレートには、ERP導入ベンダーが設計・構築した機能のひな型や設定値がまとめられています。また、業種・業界特化型のテンプレートの場合は、固有のビジネスシナリオに沿った内容が含まれており、ERP導入における上流工程の肥大化を防ぐことが可能です。

特に大きなウェイトを占める「Fit&Gap分析」と「要件定義」が簡略化されることは大きなメリットです。

この2つの工数が圧縮されると、必然的に下流工程に投入できる工数が増加します。その結果、工期や予算に余裕がない状態でも高品質なシステムの構築が可能になるのです。

開発コストの削減

テンプレートを活用することで、設計・実装作業の大半が簡略化されます。特にアドオン開発にかかる工数に関しては、高い圧縮効果が見込めます。

前述のようにテンプレートには業種・業界の中でよく使用される機能群が含まれており、これらはERPの標準機能と連携しながら動作します。したがって、アドオン開発をほとんど行うことなく、独自の要件に対応させることも可能です。

テスト工程の簡略化

開発コストで削減される工数の中には、テストに関する工数も含まれます。

システム開発におけるテストの割合は非常に大きく、ときには実装にかかる工数を上回ることもあります。

近年はテストの自動化が進んでいるものの、まだまだ人の手によるテストが多いのが実情です。特にアドオン部分については、テストシナリオとテストデータの作成、テスト実施、報告書の作成などをゼロから進める必要があり、工数の圧縮が難しいという特徴があります。

一方、テンプレートを活用した導入では、テンプレートに含まれる機能に対してのテストが不要となるため、テスト工数の圧縮が見込めます。

運用保守コストの削減

テンプレートを提供するベンダーでは、運用保守を代行するサービスを提供していることがあります。

テンプレートの開発元であるベンダーが運用保守を代行することにより、自社運用よりも費用や障害発生リスクを抑えることが可能です。

ERPを導入したシステムで発生する障害は、その多くがアドオン部分に端を発します。アドオン部分が原因の障害は、ERPパッケージを提供するベンダーからのサポートも受けられないため、長期化するリスクも含んでいます。

一方、パッケージ導入ならば、標準機能以外の部分であっても開発元ベンダーのサポートを受けることができるため、こうしたリスクを抑えられるのです。

用語や処理に対する認識の統一

ERP導入テンプレートには、業種・業界特有の処理が含まれており、これらに関する用語にも統一されています。

テンプレートに沿って業務プロセスを刷新することにより、用語の定義や認識の統一にかかる労力を減らすことが可能です。

用語や処理の定義が混乱すると、日常の業務に悪影響を及ぼすため、本番稼働後の混乱を防ぐ意味でもテンプレートの活用は有効です。


業界特化型テンプレート「GBMT」

NTTデータ グローバルソリューションズでは、製造業販社・専門商社・小売業を対象にした業界特化型のSAP ERPテンプレート「GBMT」を提供しています。

GBMT®とは、Global Business Model for Trading companyの略称です。このテンプレートには、三国間取引や諸掛計上、複数元帳管理など、グローバルに活躍する企業に必要な機能が搭載されています。また、海外子会社にも対応しているため、本社に導入したERPを海外へロールアウトすることも可能です。

GBMT®テンプレートは、このような機能のほかにも、導入に必要な方法論と各種ドキュメントがまとめて提供されます。GBMT®テンプレートはSAP社にも認定されたテンプレートで、国内外70社以上のSAP導入プロジェクトから得られた知見やノウハウを基に作られています。

以下、テンプレートを用いた実際の導入事例をご紹介します。

海外進出を見据えたグローバルな会計システム構築

日本国内で外食チェーンを展開するA社は、国内で数百店舗を展開し、今後は海外への店舗展開を視野に入れていました。

しかし、既存の会計システムは日本の会計基準に特化した国産のパッケージで構築されており、連結会計については手作業で進めている状態でした。

海外進出では国際的な会計基準であるIFRSへの対応が必須であるため、SAP ERPへの移行を決定。移行前の会計システムでは、手作業や二重入力など作業の属人化が多発していましたが、SAP ERPへの移行後は業務の標準化が進みました。

A社ではSAP ERPへの移行にGBMT®テンプレートを活用。

計画当初からカスタマイズやアドオン開発は最低限に抑える方針があったため、信頼できるテンプレートの活用を検討しました。実際にGBMT🄬テンプレートを活用することで、グローバル基準に対応した会計システムの構築を短期間で実現しています。

クラウド上にグローバル対応の基幹システムを構築

産業機械や家電製品に使用される冶金関連製品を製造するB社では従来から海外企業との取引が多く、近年は売上の8割以上が海外取引となったことを受けて、急速にグローバル展開を進めていました。

その反面、基幹システムについては拠点単位で独自に構築を進めてきたことから、全体として統制がとれておらず、データ連携も不足していました。

このことが、受注・在庫と連動しない生産計画やデータ不整合を招くなど、種々の課題につながっていました。

そこで、拠点ごとに独立していた基幹システムの統合を進めます。

海外取引が多いB社では、多通貨・多言語に対応したSAP ERPを選定し、会計・販売・購買の基盤を共通化。導入に際してGBMT®テンプレートを採用し、「テンプレートが持つ機能を活用する」前提のもとに開発を進めました。また、複数拠点の情報基盤を迅速に統合するために、クラウドサービス「AWS(Amazon Web Services)を活用し、AWS上にSAP ERPを構築。

移行後は手作業で行っていた在庫引き当て・出荷指示・売上計上・請求処理といった業務プロセスの自動化が進み、業務効率化とデジタル化が促進されました。

今後は、アジア各国に点在する拠点と条件をすり合わせながら導入を進めていく方針です。

システムの肥大化を防ぎながらECビジネスの基盤を構築

C社は健康・医療関連の大規模なECサイトを運営しており、その規模は右肩上がりに拡大しています。

一方、拡大するビジネスにシステムがついてきていないという課題もありました。

具体的には、会計・購買・在庫管理・販売管理といった基幹業務を、個別システムで運用していたため、情報基盤としての統一性を欠いていました。そのためデータ不整合の発生やメンテナンスの不可増大といった問題が発生していました。

C社はこうした状況を受けて、システムの安定化のためにSAP ERPの導入を決定しました。

東日本大震災の発生時にBCP対策の重要性を痛感していたこともあり、クラウドサービスであるAWS上にSAP ERPを構築する方針を固めます。

さらにスピードを最優先とするため、NTTデータグローバルソリューションズの専門商社向けテンプレート「GBMT®」を採用。加えて、SAP ERPの在庫購買モジュール・財務会計モジュールとの連動を考慮し、データ連携ソリューション「DataSpider」も併用しています。

これにより、アドオン開発の工数削減を実現できました。今後はSAP ERPを核として、販売管理と倉庫管理の機能を強化していく方針を掲げています。

導入ベンダーが持つノウハウと実績の重要性

テンプレートを用いた導入では、テンプレートに適合しない業務プロセスの変更が必要になることがあります。また、テンプレートの使用に応じて適宜カスタマイズを加え、標準機能との連動もチェックしなくてはなりません。

こうしたプロセスには、技術力・ノウハウ・実績をもつベンダーの協力が不可欠であり、ベンダー選定は非常に重要です。


テンプレートによってSAP ERP導入を短期で実現

ここではERP導入で用いられるテンプレートについて、定義やメリットなどを紹介しました。

業種・業界のベストプラクティスをそのまま活用できるテンプレートは、ERP導入の主流になりつつあります。テンプレートによる導入は、業務の標準化を進めるとともに「Fit to Standard(業務内容をシステムの標準機能に合わせる)」としても有効です。

海外進出や個別システムの共通化など、統制や標準化が必要な分野では、テンプレート導入の真価が発揮されやすいと言えるでしょう。

NTTデータ グローバルソリューションズでは、引き続きGBMT🄬テンプレートによるSAP ERP導入支援を継続していきます。


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