デジタルトランスフォーメーションの課題とは?
2018年に発表された経済産業省の報告書、「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」は、日本でデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)が進まなければ、2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性があると警告しています。これを受け、様々な企業がDXに向けた取り組みを進めています。
しかしその一方で、「DX疲れ」とも言うべき現象が生まれています。DXが大きな価値を生むと理解はしているものの、いつまで続ければよいのか分からない、どの程度の変化が必要なのか分からない、ゴール地点が見えないといった理由で、変革疲れを吐露する人が出てきています。
IT調査会社 IDC Japan社が企業のDXに携わる400人を対象に実施したアンケート調査では、DXに取り組む企業のおよそ2割で推進意欲が減退していることが分かりました。
また、アバナード社の13カ国、1150人を対象に実施した調査では、回答者の9割以上が、「DXが自社の施策において優先順位のトップ3に入っている」とする一方で、DXの取り組みを進める企業の43%が「変革疲れ」を感じているという結果となりました。
また米ガートナー社は、2018年にいち早く、「変革疲れに対処する」ことをテーマとしたセッションを実施しています。
DXを阻む課題
こうした「DX疲れ」「変革疲れ」が生まれる背景には、そもそもDXを実現するための社内プラットフォームが整備されていないという問題があります。
また、DXが進まない要因として、ITシステムの肥大化や複雑化、ブラックボックス化といった問題が挙げられています。こうした事情により、IT関連の投資の多くが現行システムの維持管理に充てられており、戦略的なIT投資を実施する余裕が残されていないという企業が数多く存在するのが現状です。
社内プラットフォームが整備されていないことは、あらゆる所で負荷を生み出す要因にもなっています。部署・部門、あるいは業務ごとにシステムとデータが分断していると、互いのデータをリアルタイムに連携したり統合したりすることが困難です。また、会計や販売、在庫管理や生産管理といった業務システムが分断されていれば、その運用管理だけでIT組織の負荷が膨らみます。
分断されたシステムを連携させるには、そのためのシステム開発費用と時間が必要ですし、各システムがバージョンアップされれば、その都度、連携している部分についてのアップデートやメンテナンス作業が発生します。
また、システムが分断されていると、IoTやAIといった最新技術を導入しても、特定の部署や部門、特定業務が抱える個別の課題は解決できますが、企業の業務の全体最適化や、DXによるビジネスモデルの変革にはつながりません。
このように、全体最適化を実現するためのプラットフォームが存在しないということが、DXの本来の目的の障害となっているのです。
プラットフォームとしての基幹系システムの重要性
IDCの調査の結果、DX推進の最大の阻害要因は「社員のDX理解不足と受容性の不足」であるということが判明しました。
分断化・レガシー化した業務システムを維持管理することへの負担が増える中で、という言葉だけが独り歩きしても、社員はDXの効果や価値を理解できず、受容性も上がらないでしょう。
また、老朽化・属人化したシステムの仕様を把握した人材が退職することによる、IT人材不足も深刻な課題となっています。
こうした状況においては、DX実現に向けた前提条件としてまず、基幹システムを導入し、分散化され連携されていない業務システムを同じアーキテクチャで統合して作成したり、あるいは老朽化した基幹システムをモダナイズすることが求められます。
DXを推進するためには、DXから得られるメリットを全社で共有し、全ての従業員やステークホルダーがDXの価値を共有できるような環境を整備する必要があります。ERPといった基幹システムを導入し、業務プロセスの効率化、全体最適化を実現することがそのための第一歩です。
「DX疲れ」「変革疲れ」を克服するための一つのソリューションとして、基幹システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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