SAPのコンセプト
インテリジェントエンタープライズは、SAP社が提唱するコンセプトです。ERPソリューションをコアに、企業の業務を支えるアプリケーション、顧客のエクスペリエンスに関するデータ、そしてそれらを活用するためのプラットフォームから構成され、DXを推進します。
すべての業種、規模の企業において喫緊の課題となっているデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)を推進するためには、ビジョンと戦略、そしてそれを実現するIT基盤が必要です。
これに応えるため、SAPでは「インテリジェントエンタープライズ」というコンセプトのもとに多様な製品、サービスを提供しています。
「全社員が高付加価値の業務に従事できるよう業務の効率化・高度化を図るため、AI、機械学習、IoTといった最新テクノロジーを活用する企業」がインテリジェントエンタープライズの目指す姿です。そして、それを実現するために、ERPソリューションである「SAP S/4HANA」をコアに、業務アプリケーションやインテリジェントテクノロジーを提供しています。
インテリジェントエンタープライズの定義
インテリジェントエンタープライズは、データを洞察に迅速に変換できるようにするための戦略です。プロセスの自動化、イノベーション、最適なエクスペリエンスを提供します。 インテリジェントエンタープライズは、人工知能(AI)、機械学習(ML)、IoT、分析などの新しいテクノロジーを活用して、従業員がより価値の高い成果に集中できるようにします。
インテリジェントエンタープライズは、次の3つの主要な機能を明確にします。
- 可視性:パターンを認識するために従来サイロ化されていたデータを収集して接続する機能
- フォーカス:潜在的な選択肢をシミュレーションし、希少なリソースを最も影響のある領域に向ける機能
- アジリティ:市場やビジネスの変化に迅速に対応し、ビジネスプロセスを適切な結果に向ける能力
インテリジェントエンタープライズを使用すると、組織は変化の激しい環境でより機敏になり、持続可能な成長に向けた明確な機会を得られます。
Business Technology Platform
インテリジェントエンタープライズを構成する要素
インテリジェントエンタープライズを実現するためにSAPは多くの製品やサービスを提供しています。次のようなカテゴリに分類される領域で構成されています。
オペレーション
ERPだけではなく、CX(カスタマーエクスペリエンス)やHR(人事)をはじめとした、おもにトランザクションに関わるアプリケーション群です。ここで発生するデータはO-Data(Operation Data)と呼ばれ、最終的にはデジタルコアとして位置づけられるERPに集約されます。
エクスペリエンス
ビジネスはトランザクションだけで成り立っているわけではありません。そこに関わる顧客の「エクスペリエンス」がビジネスの成否を左右する時代です。顧客が受けた「印象」や「感情」なども含めたトータルのエクスペリエンスを収集する仕組みです。ここで発生するデータはX-Data(Experience Data)と呼ばれます。
インテリジェンス
O-DataとX-Dataを結び付け、機械学習などのプラットフォームを活用して膨大なデータから新たな「知」を生み出し、ビジネスに結び付けていくことができます。効率化だけではなく、データを活用し、付加価値を生み出すエンジンがインテリジェンスプラットフォームです。
ビジネスを構成する多様なアプリケーションやプラットフォームを活用し、デジタルトランスフォーメーションを実現してゆくことがインテリジェントエンタープライズのゴールとも言えます。そして、この中心に位置づけられるのがERPです。SAP S/4HANAはこれまでの一つの基幹システムではなく、インテリジェントエンタープライズを支える基盤として、その重要性が増しています。価値を最大限に享受できるように、その位置づけと役割を見直していくことも重要です。