NTTデータグローバルソリューションズ

ERPの導入プロセスのポイントとは


企業経営に必要な情報を統合管理し、業務の効率化をはかるソリューションとして、ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)が注目されています。従来は大企業を中心に導入されてきたERPですが、近年はクラウドへの対応なども進み、中堅・中小企業にも広がりつつあります。しかし、せっかく費用やリソースをかけてERPを導入したとしても、事前の検討が不十分だと効果的な活用はできません。その結果失敗と評価させることすらあります。このような事態にならないためには、事前の準備・検討をしっかりと行うことが重要です。今回は、ERP 導入の4つのプロセス、「企画」「要件定義」「実装」「運用・サービス」について説明します。

目的を明確化し、導入のための計画を策定する「企画」プロセス

ERPの導入プロセスは、自社の経営戦略と現状の課題を踏まえ、ERPを導入する目的を明確化することから始まります。例えば、分野や地域ごとに個別で構築してきた基幹系システムを統合したい、あるいは、海外拠点や新事業会社の立ち上げのために短期間で基幹系システムを構築したいというようなことになるかもしれません。この目的によって、ふさわしいパッケージや導入形態(オンプレミスかクラウドか)、体制などが異なるため、まずはERPで達成するべき目標を明らかにすることが重要です。

導入目的と適用範囲が決まれば、次はこれらに適したパッケージの選定と、オンプレミスかクラウドかなどの導入形態、そして導入委託先(ベンダー)を決定します。ベンダーと選定する際には、カットオーバーまでだけではなく、運用開始後のことも考えて選定してゆく必要があります。
ERPの導入はシステム構築で終わるものではありません。アプリケーションの観点では、法律や制度の変更により対応をせざるを得ないものや、新規ビジネスやプロセスの変更などによる保守が絶えず発生します。またインフラ面での保守もセキュリティやパフォーマンスを維持し、安定的な運用には不可欠です。
そのため、ベンダー選定においては、導入時だけでなく、その後長く続く運用保守を見据えた判断が重要になってきます。
しかし、長期間にわたって業務システムを運用していると、使い勝手の良さは次第に低下していきます。ビジネスの変化に合わせて業務プロセスを改善していくなかで、細かな機能追加や仕様変更が何度も行われます。その結果システム自体が複雑化し、維持管理に多額のコストと時間がかかるようになってしまうのです。そればかりか、内部構造、変更過程を熟知したエンジニアが退職してしまい、ブラックボックス化してしまうことさえあります。

ベンダー選定と並行して、導入計画を策定します。計画には、導入目的と適用範囲、スケジュール、体制、タスク一覧などが含まれます。また、この段階で、プロジェクトメンバーに対してERP 導入に必要な教育を実施しておきましょう。

必要な機能や性能を明確化する「要件定義」プロセス

次に、ERPが実装すべき機能や満たすべき性能など明確にしていくプロセスに入ります。まずは、実現したい業務とERPの機能を比較して、導入しようとするシステムと企業が求めている機能がどれだけマッチしているかを分析(フィット&ギャップ分析)します。
企業が求めている機能とERPの機能がマッチしており、変更の必要が無い(フィット)業務については問題ありませんが、そうではない業務(ギャップ)については、業務を製品に合わせる、あるいは業務を実現するためにアドオン開発をする、といった対応が必要になります。日本企業においては、従来後者の対応をしながら、ERPのカスタマイズに多くの費用を費やして業務にシステムを合わせてゆくというアプローチがとられていました。
しかしながら、このような対応によってアドオンが肥大化し、導入費用や工数が大きくなるだけでなく、ERP自体のバージョンアップや機能追加などに対応できず、最新のERPを十分に活用できないという状況が多発したのも事実です。
このような従来の方針の反省も含めて、現在では「フィットアンドギャップ(Fit And Gap)」ではなく、「Fit To Standard」というアプローチで、できる限りベストプラクティスであるERPのフル機能を活用し、スムーズなバージョンアップによって最新の機能を活用するという方向性が主流になりつつあります。
場合によってはERPの考え方に合わせて業務を見直すことも検討し、どうしても難しい部分のみ開発を行うということにより、ERPの導入効果を最大限に引き出してゆきたいものです。

こうして、とくにギャップについての対応策が決定したら、フィットした業務および見直した業務と合わせて「新業務プロセス」としてまとめます。加えて、レスポンスや操作性、保守性、移行性などの非機能要件についても整理しておきます。また、データベースの項目と属性や長さを決定し(データベースの概念設計)、これに基づいてデータ量を算定します。また、関連するシステムとの連携の要否、インターフェイスやデータ同期のタイミングなども検討します。トランザクションの数やデータ量などの要件をもとに、必要なハードウェアのスペックを見積もり、基本ソフトウェアと併せて調達していきます。従来はオンプレミス型のERPが主流でしたが、近年ではクラウドERPの利用も増えています。クラウドERPにおいては、「Fit To Standard」の考え方がより重要になります。クラウドでのERPの活用については こちら をご参照ください。

ERPを実際に導入する「実装」プロセス

決定した新業務プロセスに基づいてERPを実際に導入していきます。このプロセスでの作業は、OS やデータベースシステムなどの基本システムのインストールや、ERPのパラメーター設定などです。アドオン開発や、既存システムからの移行プログラムが必要な場合は、それを実施し、また、必要なデータを移行します。これらの作業が完了した後、テストを行います。テストは、各機能が問題なく作動するか、業務システム全体が作動するか、また周辺システムと仕様通り作動するか等、段階を踏んで実施します。更に、ピーク時に問題なくシステムが動作するかを確認するために負荷テストも実施します。問題があればソフトウェアのチューニングやハードウェアの追加など必要な措置をとり、次の最終プロセスへ進みます。

テストを経て運用開始する「運用・サービス」プロセス

本格的にシステムをリリースする前に、データの移行やユーザーID 登録、各種権限の設定など準備作業を行います。その後、基準を全て満たしているかどうかリリース判定を行います。全項目が合格となった時点で、本格リリースとなります。リリース後、ベンダーは日々のシステム運用とユーザーへのサービス提供を実施し、順調に動作しているのかを確認しながら現場での問い合わせなどに対応します。運用のフェーズにおいても、システムは維持だけでなく保守が必要になります。たとえば法制や税制度の変更など対応せざるを得ない変更や、ビジネスモデルや販路の変更など、自社のビジネスに起因する変更も常に発生します。このため、ERPを長期的に活用するためには、運用保守の視点が非常に重要になるのです。

以上、基本的な4つのプロセスについて説明しました。ただし、同じERPを導入する場合でも、企業によって状況や課題は異なります。具体的なERPの要件や導入手続きは、それぞれの企業の状況や課題、目標に合わせて決定していく必要があるのです。
そのために、ERPの観点で多くの経験を持っているベンダーの選定は、ERP導入の成功にとって非常に重要なポイントです。クラウド型も含めたERPの多様化や、関連する業務システムも増える中、多くの選択肢から最適なものを選ぶために、ぜひベンダーをご活用ください。

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