NTTデータグローバルソリューションズ

クラウドERPとは

ERP市場では、従来型のオンプレミス型に代わり、クラウド型ERPが主流になりつつあります。クラウドのアプリケーションサービスであるSaaS型ERPが注目されています。今回は、SaaS型ERPの特徴や業界の動向について紹介します。 

ERPのクラウド活用

クラウドERPは文字通り「クラウド・コンピューティング上で提供されるERP」のことで、大きく二種類に分類することができます。一つは、SaaS型ERPです。SaaSとは「Software as a Service」の略で、インターネット経由で提供される「サービスとしてのソフトウェア」を指す言葉です。SaaS型ERPでは、ユーザーが自社のサーバーにERPパッケージをインストールしてシステムを利用するオンプレミス型とは異なり、ベンダーがWeb上で提供しているページにログインしサービスを利用します。月額課金が基本であり、ユーザー1人あたり毎月いくらというサブスクリプション(期間利用)や従量課金で利用するのが一般的です。
もう一つは、IaaSやPaaSを利用してERP稼働に必要な環境を整えて、その上にソフトウェアをインストールして利用する方法です。クラウドサービスで、CPU・メモリ・ストレージなどのシステム構築に欠かせないインフラを提供するものをIaaS(Infrastructure as a Service)、IaaS上にOSやミドルウェアなどの開発環境を用意するPaaS(Platform as a Service)と呼びますが、このIaaSやPaaSを利用してERPを利用することも可能です。

この中でも、SaaS型はカスタマイズ性が低いものの、コストを最小限に抑えることができるというメリットがあり、これまでおもに中小企業で採用されてきました。しかし近年では、SaaS型ERPが進化し、大企業やグローバル企業においてもSaaS型ERPの採用が加速しています。2018年のガートナー社による調査では、大企業におけるERPシステムの新規導入案件の35%が、SaaS型ERPを利用するものでした。

クラウドERPの特徴

クラウドERPには様々なメリットがありますが、中でもコストと導入スピードが注目されています。オンプレミス型ERPの場合、ハードウェアの調達に伴う初期費用に加え、メンテナンスや、必要に応じて障害への対処等を行うためのリソースが必要になります。一方で、クラウドERPではインフラ構築と運用をクラウドベンダーが行うため、インフラの初期構築関連や運用保守のコストが不要です。また、契約はサブスクリプション型であるため、利用に応じて課金されるため、ライセンス購入型に比べ初期コストを抑えられます。
また、クラウドERPはインターネット経由で提供されるため、外出先や多様なデバイスからでも同じように利用することができます。今日のようにテレワークを求められる環境においても、このような利用形態は非常に適合する形態です。また、SaaS型ERPでは、インフラもソフトウェアもすべてクラウドベンダーが運用するため、ソフトウェアは常に最新の状態が保たれます。オンプレミス型ERPでサーバー全てを自社ビルに設置した場合、災害発生時に全システムが停止するリスクがあるため、BCP対策としてSaaS型ERPを導入する事例もあります。クラウドサービスのセキュリティ面が懸念されることもありますが、主要ベンダーのデータセンターは、一般企業が保証できるレベルを上回るセキュリティを備えています。

こうしたメリットの反面、オンプレミス型のERPパッケージに比べ、SaaSはアドオンに関する制限が多いという特徴もあります。規制の厳しい業界のユーザーや、管理やカスタマイズ性能を重視するユーザーにとっては、SaaS型ERPが最適といえない場合もあるでしょう。また、サブスクリクション契約を長期間利用すれば、トータルの費用がライセンス購入額を上回ることもあります。サブスクリプション契約を更新する際に値上げされる可能性や、ベンダーの事業の状況等によりサービスが利用できなくなるリスクもあります。クラウドERP導入が、本当に自社に合っているか、またコスト削減につながるかについては、中長期的な視点から検討する必要があります。

SAPの動向

SaaS型ERPの人気が高まる中、SAPやオラクルをはじめとするERPベンダー大手も、同サービスに注力しています。日本では、SAPジャパンが2013年にSaaS型ERP「SAP Business ByDesign」を提供したのに続き、2016年には、SaaS版の「SAP S/4HANA Cloud」の提供も開始されました。特に後者については、オンプレミスよりも先にSaaS形式で提供すると発表されたことに注目が集まりました。「SAP S/4HANA Cloud」は、3カ月ごとに機能強化を行われており、SaaS型ならではの柔軟性とスピード感を活かされているといえます。

現在、SaaS型がERPの主流となりつつあり、M&Aや開発投資もSaaSに集中する傾向にあります。SaaS型ERPを中核にAIなどの先端技術を組み合わせることで、次世代クラウドソリューションを開発・提供する動きも加速しており、今後も同分野の進化が注目されます。

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