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コラム

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プレッシャーを乗り越え、平常心で実力を発揮するには

 

人間の技能や体力、判断力を基に競うスポーツでは、プレーヤーの精神状態が勝敗を大きく左右します。

スポーツのなかでもゴルフは、特にメンタル面の影響が顕著に現れるといえます。日々の練習では目を見張るようなショットを打てたのにも関わらず、コースに出た途端、別人のようにミスを連発するといった不調は、誰にでも起こりうるものです。また、前ホールのミスショットや過去のラウンドのトラウマが脳裏に浮かび、ミスを繰り返すこともよくあります。これらはいずれも、プレーヤーの心の乱れが引き起こす現象です。

 

心の状態を整える技術を利用

 

ビジネスでの効果的スキルアップや、パフォーマンス向上を目指す自己管理技術の中に、心の動きを管理する「メンタル・マネージメント」があります。元々スポーツ選手のトレーニングとして生み出されたこの手法は、その有効性が認められ、ビジネスシーンでも注目を集めています。

ゴルフは基本的に個人競技であり、心の乱れがプレーに表れたとしても、他の人がカバーはしてくれません。つまりメンタル・マネージメントは、自らで体得し、実践していかなくてはならないのです。

たとえメンタル・マネージメントのような体系的管理技術を知らなくても、心を整える自分なりの方法を持つ人もいます。たとえば、決まった順番でアドレスに入り、同じ数だけ素振りしてからショットを打つといった「ルーティン」を守ったり、ミスがあっても上達に向けた経験値が得られたと捉え「ポジティブ思考」を心掛けたりする方法です。このような方法は実際、心の状態を整え、身体の動きを円滑にできます。そして、科学的エビデンスもあり、決して侮れません。人は緊張状態に置かれると、呼吸や心拍数が速くなり、その結果動作も通常よりも速くなりがちです。練習では上手くいっても本番で失敗する原因の多くは、心理状態の乱れから身体の異変が誘発されることにあります。

スポーツ医学の専門家によると、ピンチに陥りやすい場面でも、決められたリズムと作法などのルーティンに自分の意識を向けることで、呼吸や心拍数が整い、身体の動きが円滑になるといいます。これは、人の心と身体の結びつきの強さを表しています。

 

キャディの言葉で心の状態を整え、プレッシャーから解放

 

ゴルフは個人競技ではありますが、3、4人一組でラウンドするのが一般的です。同組のメンバー同士の関係は、数あるスポーツの中でもかなり特殊だと言えます。競争相手でありながら、喜怒哀楽を共にする仲間でもあるからです。同組で回るメンバーとの交流は、時には心を整えたり、高揚させたりする“薬”となります。和気あいあいとプレーできている時には、多少のミスがあっても気にならないものです。また、「ナイスショット!」という声が掛かれば気分は高まり、身も心も軽くなります。

しかし、メンバーが場合によっては、心をかき乱す存在にもなります。たとえば、1人だけミスを繰り返して進行を遅らせてしまう場面では、周囲からの「大丈夫」「落ち着いて」といった励ましが逆にプレッシャーとなり、焦りを募らせることもあります。

気の合う仲間や家族とラウンドする時よりも、会社の上司や取引先と回っている時のほうが、プレッシャーを感じる傾向はあるでしょう。このように抜け出せないプレッシャーの中で、孤独すら感じる場面では、キャディに話しかけてみてはどうでしょうか。「こんな時には、どうしたらいいのかな?」「何に集中したらよいのか?」などと話しかければ、「いつも通りのスイングを心がけましょう」とか、「やってしまったミスは忘れて、目の前のワンプレーに集中しましょう」といった救いとなる返答を返してくれることでしょう。このような言葉は、たとえ同じ内容であっても、上司や取引先から言われるよりも、ずっと心が落ち着くはずです。

なぜならキャディは、利害関係のないパートナーだからです。プロ選手と共にトーナメントを回るプロキャディは、選手と共に生活を賭けた運命共同体のようなところがあります。これに対して、アマチュア・プレーヤーのラウンドに寄り添うキャディは、横で常に客観的にプレーを見ながら、楽しくプレーしてもらいたいと考えて動いています。しかも、さまざまなゴルファーのプレーを見てきた経験上、多くの人々の取り乱した様子やリカバリーに成功した様子も見ているはずです。

このため、キャディからの言葉は、素直に受け止めやすく、信頼できる言葉として感じられます。キャディは、プレーヤーがラウンド中に実力を発揮するためのメンタル・マネージメントを支えてくれるパートナーとなり得るのです。

 

孤独なリーダーを支える、つかず離れずの距離感のパートナーシップ

 

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多くの人に囲まれながら、孤独な立場で物事に取り組む場面は、ビジネスシーンでもよくあります。特に、組織の中で責任ある地位に就くと、より多くの部下や取引先と共に仕事する機会が増え、その傾向が顕著になります。多様な分野・業界の利害関係者が集まって共創する、製品やビジネスの開発プロジェクトのリーダーも同様です。責任ある立場から組織をマネージメントするリーダーは、日々、孤独の中で重要な意思決定を行っています。さまざまなステークホルダーと対峙しながら、冷静かつ適切な判断を下すためには、自らのメンタルも日々ケアする必要が出てきます。

ゴルフをプレーする際に親身でありながら客観的な言葉を投げかけてくれるキャディと同様に、利害関係なく客観的視点から気兼ねなく会話できるパートナーがいると、ビジネスでのメンタル管理はずっとやりやすくなります。たとえば、ゴルフ好きの経営者には、自社とは全く別業界の経営者とのラウンドを好む人が少なからずいます。なぜなら、直接の利害関係がない反面、それぞれの環境で自分と同じように孤独な立場で日々戦う、同志のように感じるからです。

自社のビジネス関係者と一緒にラウンドするよりも、よほど心休まる時間を過ごせることもあります。畑違いのプレーヤー同士の会話をきっかけに、ビジネスに関する新たなヒントが得られることも考えられます。

ゴルフを通じて、つかず離れずのちょうどよい距離感で接することができるパートナー、理解者を探してみてはいかがでしょうか。

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