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コラム

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~日本プロキャディー協会×奈良育英中学・高等学校講習会レポート vol.01~
本当の意味で強いプレーヤーになるために必要なこと

2024年、日本プロキャディー協会副代表理事の清水重憲氏が訪れたのは奈良県にある奈良育英中学・高等学校です。目的は奈良育英高等学校ゴルフ部に所属する部員に向けた講習会を行うためです。

今回で5回目となる講習会では、清水氏が長年に渡り経験し、築き上げたプロキャディとしての知識や清水氏自身が感じるプロゴルファーに求められる本質について、これからプロゴルファーの世界へ飛び出そうと考えている若い世代に余すことなく伝えられました。

奈良育英高等学校ゴルフ部と言えば、K選手が2023年のJLPGAプロテストに合格するなど、全国屈指の強豪校です。積極的に清水氏に質問する部員の姿に、その強さの理由を垣間見たような気がしました。

 

中学や高校の部活と言えば、放課後に集まって練習するというイメージがあると思います。しかし、ゴルフは個人スポーツということもあり、個々でコーチをつけるなど、個人練習がベースとなっていることが多いです。奈良育英高等学校ゴルフ部員も同じですが、ゴルフにおいても、一般的な部活のように集まって練習する重要性もあります。

 

今回の清水氏による講習会もその一つで、個人では経験できないことを準備し、提供することが自分の役目だと考えていると話すのは奈良育英中学校・高等学校でゴルフ部顧問を務める中村好志先生です。中村先生は、ゴルフ経験はほぼありませんが、顧問として今回の清水氏のようにそれぞれの分野の専門家に依頼し、講習会などを実施しています。清水氏の講習会も、生徒に役立ちそうなことをいろいろと調べる中で清水氏の存在を知り、ダメもとで依頼したのが始まりだったそうです。

 

生徒達にとって強くなるために何が必要なのかの答えは様々です。そして、それを見つけ出すことは至難ですが、幾つもの可能性を探り用意することを大切にしています。その中から何を感じ、何を取り入れるかは生徒次第で、自主性を重視しているとのことでした。

 

今回で5回目の講習会になりますが、清水氏も積極的に質問をしてくる生徒達の姿勢に毎回驚かされていると言います。また、強い選手がみんな持っている本質をすでに持ち合わせいる生徒もいるとのことです。講習会では、強い選手が持っている3つの共通点について伝えられました。

 

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奈良育英中学・高等学校の教室で講習を行う清水氏

 

「長くプロキャディをやらせてもらっていますが、強い選手には3つの共通点があると感じています。まず1つ目は、練習をよくすることです。これは間違いなく伸びていく要素です。昔は練習量が多ければいいと言われていた時代もありましたが、最近はそうした根性論ではなく、質の良い練習をする選手が増えたように思います。今はいろんな情報が手に入りやすく、かつ良いレッスンを受けたり、聞いたりできる環境が整いつつあります。量より質の時代になっていることは間違いありません。また、ゴルフのコーチング自体のレベルも上がっています。質の良い練習をいかに集中してやれるか。そういう練習ができている選手が成績を出しています」

 

練習をするのはプロゴルファーとして当たり前のことですが、無駄な時間をかけずにいかに効率良く練習をするかが今の時代では求められています。これはビジネスにも置き換わることで、時間は無限にあるわけではなく、限られた時間の中で成果を出せるかどうかが、効率良く利益を上げる要因になります。また、ゴルフにおいては優れたレッスンや最新の計測機器があるおかげでレベルの高い練習ができるようになった反面、膨大にある数値などのデータを正確に読み取る力も必要とされるようになりました。だからこそ優れたコーチなど第三者の目が重要になります。多くの情報から必要なものを見極めることが質の高い練習、質の高い仕事に繋がるということです。

 

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清水氏に質問をする生徒

 

「2つ目は質問をよくすることです。意外かもしれませんが、強い選手は疑問や不思議に思ったことについて積極的に聞いてくる傾向があります。人に聞くことは恥ずかしいと思うかもしれませんが、そう思わずにどんどん聞くことが大事です。こんなことを聞いたら失礼ではないかと、わからないままにすることのほうが恥ずかしいと思ってください。私を含めて聞かれる側にとっても、そんなこともわからずやっているのかとは思いません。その点を気にする必要はありません。ここ(奈良育英高等学校ゴルフ部)で最初に講習したときのK選手もそうでしたが、積極的に質問されたことに驚いたのを覚えています」

 

わからないことや疑問を解消することは物事を前に進めるために大切なことです。また、迷いが無くなることで自分がやろうとしていることに対しての自信を持って取り組めるようになります。恥ずかしいという感情は、上達するためには余計な感情と言えます。ビジネスにおいても、わからないことをそのままにすることによって、間違った方向にビジネスが進んでしまう可能性があります。不明確なものはすぐに明確にする、その作業の繰り返しが、最良の結果に導いてくれます。

 

「3つ目は素直な気持ちです。言葉で説明するのが難しいテーマですが、捻くれずにというか、素直な気持ちで居続けることです。素直な気持ちで相手に接すれば、相手も素直に答えてくれるはずです。それが選手としてレベルを上げるための要素だと感じています。昨年引退したL選手は本当に素直な気持ちの持ち主でした。ゴルフは個人スポーツということもあり、言葉は悪いですが、人を蹴落として上にいく気持ちが大事になる一面があります。それが彼女の場合は無いと言い切ってもいいほどです。素直で、人の悪口を言っているのを聞いたことがなく、こんなに(素直で性格の)良い子が(日本の)トップに立てることに驚かされました。勝負事なので難しい部分ですが、変に捻くれずに素直でい続けることが大切なことだと思います」

 

この素直さによって、視野が広がり、様々なことを受け入れられるようになることは間違いありません。ゴルフはメンタルスポーツと表現されますが、どんな時にも冷静さが必要とされます。ただ、清水氏が話す通り、勝負ごとには気持ちの変化が当然の如くあり、喜怒哀楽を表に出すことが良い方向に働くこともあります。いかに良い精神状態を保つかの手段は個人によって異なりますが、清水氏が感じた素直さとは、ゴルフに対する純粋さを意味しています。

 

目標を明確に持ち、ひたすらにその目標達成のために突き進むことの大切さを生徒達には感じてもらいたかったのでしょう。

 

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清水氏の講習に耳を傾ける生徒

 

日本プロキャディー協会を立ち上げた意義の一つに「育成」というワードがあります。これまでの経験を何らかの形で残し、ゴルフ界への恩返し、そして発展に繋げたいという強い思いが清水氏にはあります。
講習会を通して語られた強いアスリートの条件は、ビジネスパーソンとしての成長にも通ずる示唆が多く含まれていました。技術だけではなく、気持ちの持ち方や周囲とのコミュニケーションなど、ソフト面の育成も重要なテーマであると私たちNTTデータ グローバルソリューションズも考えています。今回の講習会レポートが少しでも多くの方に届けば幸いです。

 

座学の後は実際にコースに出て、プレーをしながらケース・バイ・ケースで、強い選手になるために必要な考え方やゲームメイクの仕方が清水氏から指南されました。次回はその様子をレポートします。

 

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