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コラム

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プロキャディの仕事とは?

ゴルフだけに存在するプロキャディというパートナー。

 

プロキャディの仕事について問われたら、試合中のプロゴルファーに帯同してキャディバッグを担ぎ、コースの攻め方についてアドバイスを行うことだと多くの人が答えるでしょう。ゴルフツアートーナメントのTV中継やスポーツ番組を見ていると、プロゴルファーとプロキャディが話しながらコースを歩く光景をよく目にします。しかし、試合中の選手が最初から最後までずっとパートナーからのサポートを受けられるスポーツは、ゴルフのほかにありません。野球やサッカーなどのチーム競技と違い、個人で競うアスリートたちは孤独な闘いを強いられます。最近は少しずつ緩和されていますが、テニスのコーチはスタンドで観戦することしか許されず、サインを送っただけで選手がペナルティを科されていました。当たり前過ぎて普段は気にも留めませんが、プロキャディの存在はゴルフというスポーツの特徴を際立たせているのです。
プロキャディは、一般的な競技の監督やコーチとは異なるポジションでプロゴルファーに寄り添い、優れたパフォーマンスを発揮できるようにさまざまな面から支えています。コース内でキャディバッグを担ぎ、プロゴルファーにアドバイスするのは、その役割のほんの一部に過ぎません。その多岐にわたる仕事の内容についてご紹介しましょう。

 

キャディの起源とは

 

そもそもゴルファーにキャディが帯同するようになったのはなぜでしょうか。キャディの起源には諸説ありますが、最も有力なのは、16世紀にスコットランドの女王にしてフランス王妃となったメアリー・スチュアートが、夫のフランソワ2世の没後にスコットランドへ帰国する際に連れ帰った「カディ(Cadet)」たちだという説です。
「カディ」は、フランス語で貴族の家に生まれた次男や三男を意味する言葉です。長子でないため家督を継げない「カディ」たちは宮廷の小姓としてメアリー王妃に仕えていました。スコットランドに帰ってからゴルフを始めたメアリー女王はその面白さに夢中になり、フランスから連れてきたお気に入りの「カディ」にプレーの手伝いをさせていたそうです。フランス語の「カディ(Cadet)」が少しずつ変化して「キャディ(Caddie)」になったというのが通説になっています。世界初の女性ゴルファーでもあるメアリー女王がゴルフに興じなかったら、プロキャディは存在していなかったかもしれません。
職業としてのキャディが登場したのは、それから200年ほど後のスコットランドと言われています。1775年にはゴルフのルールにもキャディが明記され、競技のパートナーとしての地位を確立しました。

 

プロキャディの仕事とは?

 

その肩にゴルフの伝統を担い、未来へと引き継ぐ。

 

では、これからプロゴルフツアートーナメント中にプロキャディがどのように帯同しているかを説明していきます。
ツアートーナメントが3日間(金・土・日)にわたって開催される場合、プロキャディはその週の火曜日または水曜日に会場に入ります。4日間開催(木・金・土・日)の場合は、月曜日または火曜日に会場に入ります。
プロキャディが会場に着いたその日に行うのは、18ホール全てのティーグラウンドからグリーンまでを歩いて下見することです。まず、フェアウエイ、ラフ、グリーンそれぞれの芝の状態を見て、ボールの転がり具合を確認します。池やバンカー、林はもちろん、グラスバンカーやスプリンクラー、池の位置までもチェックします。帯同するプロゴルファーのプレースタイルや癖をイメージしながら、コースマネジメントするための情報収集を行います。また、プロゴルファーが試合前にドライビングレンジや練習用グリーンで練習する時も、同行してサポートしながらコンディションを確認します。こうした準備を念入りに行い、精度を高めることが試合当日のゴルファーの優れたパォーマンスに繋がるのです。
試合中は重さが15キロ以上になるキャディバッグを担いでコースを移動し、プロゴルファーが次のショットで選択するクラブを渡します。ボールやクラブの汚れをタオルで拭き取り、プロゴルファーがショットを打った後にめくれた芝や土を埋め直し、バンカーの砂をならして整備するのもプロキャディの仕事です。さらに、プロゴルファーが次のショットをどう打つべきかを判断するために、ピンまでの距離や風、コースレイアウト、グリーン上のラインなど、事前に調べたデータにもとづいてアドバイスします。天候や風向きなどの条件によってホールの環境は大きく変化するため、攻め方も調整しなければなりません。ショットを打つ位置の風はフォローなのに、グリーンの手前にある池の波がアゲインストに流れているなど、ホール全体の状況を把握することも重要です。それらの情報を試合前に調査したデータに重ねて分析し、プロゴルファーの判断を助けて最適なアプローチを導き出します。プロゴルファーがコースマネジメントに迷わずショットに集中できるように、プロキャディは自らの知識と経験をフルに活用するのです。
また、プロゴルファーの調子や試合状況に応じて適切なコミュニケーションをとり、闘うモチベーションを維持できるようにすることも重要な役割です。試合後はプロゴルファーのキャディバッグや荷物を管理して、盗難から守るという仕事が待っています。
さらに、プロゴルファーが試合に集中できるようにメンタル面や体調をフォローすることもプロキャディの仕事です。雨が降ればプロゴルファーが濡れないように傘をさしかける、タイミングを見計らって水分やエネルギー補給を促すなど、細やかな気配りも欠かせません。
予選ラウンドの前日にプロアマ戦が開催され、帯同するプロゴルファーが参加する時は、試合と同様のサポートを行います。試合ほどの高い緊張感はありませんが、翌日からのツアートーナメントに備えて疲労が蓄積しないように注意する必要があります。

そしてもう一つ大切なことは、プロキャディもプロゴルファーと同様に、試合中の立ち居振る舞いを厳しくチェックされることです。プロキャディの行動が規則に違反した場合は、プロゴルファーにペナルティが科せられることもあります。規則はもちろん、マナーに反する行為は許されません。プロキャディは黒子ですが、その一挙手一投足は常に運営側やギャラリーの視線にさらされています。フェアプレーを重んじる「紳士・淑女のスポーツ」として長い歴史を誇るゴルフの伝統をその肩に担い、未来へ引き継いでいくこともプロキャディの使命なのです。

 

プロキャディの仕事とは?
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