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コラム

~プロキャディ・ストーリー vol.03~娘を見守る母親のように選手に寄り添いながら共に成長できる喜び。のメイン画像

~プロキャディ・ストーリー vol.03~
娘を見守る母親のように
選手に寄り添いながら
共に成長できる喜び。

原田 眞由美
プロキャディ歴18年

 

小学校時代の友人との再会からプロキャディの道へ

 

小学生の時に夢中になっていたスポーツは、ゴルフではなく野球でした。市内の別の野球チームには、後にプロゴルファーになるTさんが所属していました。未来のTプロと知り合ったことが、私の進路に大きく影響するとは夢にも思いませんでした。中学生になってTさんは、野球からゴルフへ転向。私もバレーなど種目を変えながら、ずっとスポーツを続けていました。ゴルフに興味を持ったのは、そろそろ就職を考えようかという時期に、Tさんがプロゴルファーになったと聞いたからです。当時私が住んでいた隣の県にあるゴルフ場で、ハウスキャディの募集があることを聞き、そこで働くことを決めました。そのゴルフ場で開催されたトーナメントでTプロと再会したのは、本当に偶然の出来事でした。その後、私がハウスキャディとして働いていると知ったTプロに依頼されて、初めてトーナメントのキャディを務めました。その経験が楽しくて忘れられなかったことが、私がプロとしてのキャディを志望したきっかけです。
ハウスキャディの業務は、4人一組のお客様を相手に務めるのに対して、トーナメントではプロゴルファーと1対1で試合に臨みます。試合中にプロゴルファーにアドバイスできるのはプロキャディしかいません。しかもプロの技術は非常にレベルが高いです。たとえば、距離が残り何ヤードで風がこう吹いているから、ここを狙うのがいいとアドバイスすると、その通りにボールを打てます。常にゴルフ場の地形やコースのレイアウト、天気に風、芝目や硬さなど、さまざまな条件を考慮してコースマネジメントするのは確かに大変です。しかし、その狙い通り攻められる技術を持つプロゴルファーと一緒に戦えるのは、プロキャディならではの魅力や興味深さに繋がると思います。

 

新鮮な気持ちを保てるのは、毎日が気づきや発見の連続だから

 

18年のキャリアのなかで印象に残っているのは、韓国の男子プロと組んでトーナメントで優勝を経験したことです。韓国の女子プロとのコンビでは優勝こそできませんでしたが、毎回優勝争いをしていたので、忘れられない場面がたくさんあります。うれしかった思い出も、もう一歩及ばなかった悔しさも、私の大切な財産にほかなりません。
プロキャディとして数多くの試合で経験を積むことが、的確な状況判断をする力を養います。トラブルに対処しなければならない状況において、プロゴルファーの選択肢になかった的確なアドバイスをできる力を身に付けるのには、10年以上の時間がかかりました。今週のこのコースはラフが深いから、男子なら何番で出せるが、女子では出せない。ではどうするか。帯同する選手のヘッドスピードと球の上がる角度から、何番アイアンで何ヤード飛ばせるというデータを記憶し、当日の状況に合わせてシミュレーションを行います。緻密さの求められる難しい仕事ですが、ゲーム的な要素もあり、そこが面白さでもあります。
私がプロキャディになって12年目くらいの時に、ベテランのプロキャディの方から「あと10年くらい続けたら、プロキャディがどんな仕事かわかるよ」と言われたことがありました。確かにこの仕事は本当に奥が深く、毎日が気付きや発見の連続です。トーナメントの緊張感にも慣れるということがなく、新鮮な気持ちを保ったまま、気がつけば18年という時間が過ぎていました。

 

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プロキャディ志望者とゴルフ業界の橋渡しを協会に期待

 

いま目標にしているのは、ルーキーの時から組んでいるHプロがシード権を獲得できるようにサポートすることです。いつもギリギリのところでシードに届かず、多くのプロゴルファーを見てきた経験を活かして、貢献したいと考えています。本人はスイングを気にしていますが、たとえゴルフの状態が良くなくてもシード権を取っているプロゴルファーはたくさんいます。実力は十分あるので、それを試合で発揮してほしいです。まるで娘を見守る母親のようですが、若手のプロゴルファーに寄り添って、選手の成長を支えていくのも、プロキャディの仕事のやりがいだと思います。
最近、女性のプロキャディの需要はすごく高まっており、応えきれていないのが現状です。女子プロゴルファーはもちろん、男子プロゴルファーからのニーズも増えてきました。女性ならではの細やかな気配りに加えて、ミスをしても異性のプロキャディだと感情をぶつけるのではなく、感情を整理し、クールダウンしてから、次のプレーに移れるという効果があるようです。
私はTプロのおかげでプロキャディの道が拓けました。しかし、プロキャディになりたいと思っても、どうすればいいのかわからない人が大勢います。プロキャディ志望者とゴルフ業界の橋渡し役を、私が所属する日本プロキャディー協会に担ってほしいと思います。過去に私も協会が開催したプロキャディ講習の講師を務めました。私自身は、家庭の事情もあり、年間のトーナメントはフル出場していません。ですが、スポットで帯同することで、時間的に少しゆとりを持つことができました。その時間を有効に活用して、自分の知識や経験を後進に伝える機会があれば、積極的に協力したいと考えています。

 

編集後記

 

原田プロキャディはプロゴルファーの持つ技術への信頼をベースに、トーナメントで培ってきた経験と知識を駆使しながら、最適なコースマネジメントを組み立てています。帯同するプロゴルファーの技術やパワー、プレースタイルを把握し、状況に応じて分析することが、トーナメントでの戦略立案を可能にしています。ラフやバンカーといったトラブルを切り抜ける時には、その分析力が大きな力を発揮します。私たちITコンサルタントも、お客様のリソースを正確に把握することが仕事の第一歩です。ショットを打つのがプロゴルファーであるように、戦略を実行するのはお客様自身だからです。

 

 

【原田眞由美 はらだまゆみ プロフィール】

 

ゴルフ場のハウスキャディに就職後、偶然幼少時代の友人がプロゴルファーとなり、再会したことをきっかけにプロキャディの道を歩み始める。
18年のキャリアを活かし、日本プロキャディー協会にて後進育成にも取り組む。

 

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