AKI
プロキャディ歴5年
私は高校までずっと野球というスポーツに打ち込み、ゴルフとは縁のない学生時代を過ごしていました。
卒業後、ゴルフのプレー経験はありませんでしたが、ゴルフ場に就職したことにより少しずつその魅力に惹かれていきました。野球と違い、練習や試合中にユニホームが汚れることは少なく、豊かな自然に囲まれたコースの景観も美しい印象を持っていました。競技者もギャラリーも厳格なマナーを守ることが求められ、紳士のスポーツと言われるだけのことはあります。その面白さを知るうちに、友人と遊びに行くより、ゴルフをしているほうが楽しくなったのを今でも覚えています。
やがて私は、もっと深くゴルフに関わる仕事をしたいという気持ちが芽生えました。しかし、ゴルフ競技の経験がない私が、今からプロゴルファーを目指すのは難しい。ゴルフというスポーツで、プレーに関わるもう一つの選択肢として、プロキャディへの道を選んだのは自然な流れでした。
最初の約1年は、本業の仕事(ゴルフ場での勤務)を続けながら休暇を取得し、トーナメントに帯同していました。その後、2018年に退職して、プロキャディ専業の道を選びました。当時、私の両親は賛成しませんでしたが、私は迷わずに決断しました。会社員は安定しているとはいえ、月々の収入は決まっています。
一方プロキャディは、帯同するプロゴルファーが好成績を修めれば、より多くの報酬を得ることができます。プロキャディになったばかりの頃は、自分の好きなことで生計が立てられることに驚きを感じていました。
プロキャディとして初めて帯同したのは、アマチュアの選手でした。その後しばらくは、プロになりたての若い選手と組み、少しずつトーナメントの空気に慣れていきました。
ゴルフ場に勤務していた時は、ハウスキャディという仕事ではなく、基本的な知識も十分ではありませんでした。したがって、ひたすら先輩プロキャディの方々にわからないことを聞いて学ぶ日々が続きました。経験を積むうちに、試合の流れを引き寄せるうえで、大事にするべき一打が肌感覚でわかるようになりました。
私にとってプロキャディという仕事の面白さは、帯同するプロゴルファーの結果が報酬と連動するところにあります。もしプロゴルファーが予選落ちしたら賞金はゼロという厳しい世界です。たとえ優勝争いには届かなくても、なんとか予選は通過させたい。そのためにはどうすればいいのかを常に考えながら、自分にできることに精一杯努めています。
たとえば、スコアボードの数字をチェックするのも、その一つです。プレー中は雑念にとらわれずに、目の前の一打に集中してほしい。だから、競り合っているライバルのスコアを確認しながら、自分たちの順位を把握しています。なぜなら、順位や状況に応じてコースマネジメントやアドバイスを調整する必要があるからです。
日によって身体やメンタルのコンディションも変わるため、そこも配慮しています。
私の理想は、どんなタイプのプロゴルファーにも対応できる柔軟なプロキャディになることです。つまり、自分自身のスタイルというものがありません。
相手との距離感を一定に保ちながら、タイプに合わせてサポートするように心がけています。会話の頻度や声のトーンも選手に合わせて変えるよう意識しています。
だから、人によって私のキャラクターはかなり違う印象を受けると思います。常に試合や練習でも他のコンビがどのようにコミュニケーションしているかを観察して、タイプとキャラクターの相性を研究しています。レストランでくつろいでいる時の様子まで見て、参考にしています。
プロゴルファーが気持ちよくプレーすることが良い結果に繋がると考えています。
だからこそ、試合中は、選手の意志を尊重します。極端な話でいえば、選手がスライスだと言えば、フックに見えても違うと否定はしません。また、選手が選んだクラブより一番手大きい方がいいと思っても、それで打ちたいと言われたら、私は引き下がります。
こう打ったほうが絶対にいいと説得するプロキャディのほうが多数派かもしれません。しかし、私は違います。それが正解かどうかより、できるだけプロゴルファーの気持ちを優先します。
それでは選手のミスを救えないからダメだという意見もあるでしょう。でも、選手が確信を持って言っているのか、それとも迷っていて背中を押してほしいのかはニュアンスでわかります。本当に迷っているなと感じたら、自分の意見を主張するよう意識しています。ですが、最終的に判断するのはプロゴルファーです。
たとえば、野球でもピッチャーはキャッチャーの指示したコースを見て、違うと判断したら首を振り、自分がカウントを取れると思う球を投げます。それは、プロゴルファーとプロキャディの関係に通じるところがあると思います。
現在の目標は、海外のツアートーナメントを経験することです。そのための準備として、私は、シーズンオフを利用してフィリピンに語学留学しました。海外に帯同するプロキャディの候補になるには、英語が話せることが必要条件だと考えたからです。
トーナメントで出会った一流のプロゴルファーは、人としても一流です。その人たちと一緒に戦えることは、私にとって大きな喜びであり、幸せにほかなりません。プロキャディの道を選んで本当に良かったと心から思っています。
どんなタイプのプロゴルファーとも組めるように、自身のスタイルやキャラクターを固定せずに相手に合わせていくというAKIプロキャディが取り組む姿勢は、私たちITコンサルタントにとっても示唆に富むものです。
プロゴルファーの意思を尊重して、否定はしない。しかし、本当にサポートが必要だと判断した時には、自身の意見を伝えて、よりベストな判断を促していく。
私たちも、ただプランを示すだけではなく、お客様に併走して、抱える課題に向き合い、状況に応じて最適な方向へと導いています。監督やコーチではなく、プロキャディに高い親和性を感じるのは、常に試合という最前線の現場において変化する状況を見極めながら、プロゴルファーを支えるところに共通点を見出せるからだと思います。
ゴルフ場に勤務したことをきっかけにゴルフにのめり込み、仕事の休日を使ってプロキャディのキャリアをスタートさせた。
自身のスタイルを固定せず、選手一人一人に合わせてサポートの仕方を変化させることを武器にしている
どんな状況においても 絶対にあきらめないことが勝利の可能性に繋がります。日本プロキャディー協会副代表理事 清水 重憲氏 こちら
優勝の喜びと昂りをもう一度経験したくて卒業を先送りにしました。日本プロキャディー協会 定由 早織氏 こちら
娘を見守る母親のように選手に寄り添いながら共に成長できる喜び。日本プロキャディー協会 原田 眞由美氏 こちら
世界トップクラスのプロゴルファーと共に挑み、闘う経験を糧に。日本プロキャディー協会 牧野 みゆき氏 こちら