株式会社NTTデータ グローバルソリューションズ

コラム

TOP対談 PART 3:晴れの日も、雨の日も国内でも、海外でも、プロフェッショナルとして支えていく矜持。のメイン画像

株式会社NTTデータ グローバルソリューションズ 代表取締役社長磯谷(左)と一般社団法人日本プロキャディー協会代表理事 森本 真祐氏(右)

 

TOP対談 PART 3:
晴れの日も、雨の日も
国内でも、海外でも、
プロフェッショナルとして
支えていく矜持。

熱を帯びてきた対談の最終章。海外に進出する企業やプロゴルファーをどのようにサポートしているのか。デジタル化はプロキャディに何をもたらすのか。そして、今後のスポンサーシップに寄せる思いについて意見が交わされました。

 

世界で戦うための不安を受け止める

 

磯谷
お客様企業が、海外で事業を展開する際にサポートできることが、私たちの大きな強みです。日本企業における生産システムや管理手法は、トヨタ自動車のカンバン方式や京セラのアメーバ経営に代表されるように、グローバルで一般的な手法と異なり、独自の強みを持っているものもあります。一方でこれまでのQC活動により個別最適化されてしまった製造現場も多く、グローバル展開する際にどう擦り合わせていくか、それともローカルの特徴を変えずに生かしていくべきかを常に考えていかなければなりません。
ITシステム導入を一般的なローカルベンダーが依頼する場合、自社の現地法人や拠点に要件定義も任せてしまうケースがよくあります。一方で、私たちはお客様企業の責任者や情報システム担当と一緒に現地に出向くようにしています。日本企業の本国の仕組みや良さをどのように活かすべきか、現地の方々とよく話し合って決める必要があると考えているからです。生産する製品やサービス品質、従業員のスキルなどを日本と同じ水準に合わせるためには、お客様企業だけではなく、進出先の事業環境についても私たちが理解しておく必要があります。
たとえば、国によって商習慣や管理手法が異なる場合、システムの標準化・現地化を考える上で一番苦労するところです。森本さんは海外のトーナメントツアーに帯同された際、日本との違いを感じることはありましたか。

 

森本
海外のプロキャディが試合中にプロゴルファーと何を話しているのか詳しくはわかりません。ただ、海外のプロキャディは、ドライに接している印象を受けます。日本と同様、海外でもプロゴルファーは試合が終わった後に、その日の反省を兼ねて練習に行きます。もちろん私たちプロキャディも同行しますが、海外のプロキャディは試合が終わるとキャディーバッグを置き、さっさと帰ってしまいます。プロゴルファーとの間で定めた契約で決められているのかもしれませんが、最初は驚きました。加えて、もう一つの違いは、海外のプロキャディの多くが、あまり感情を表にださないことです。常にポーカーフェイスで、試合中に笑ったりしません。私たちは帯同しているプロゴルファーにいいプレーが出ると、すぐに喜んでしまいますから、これは意外でした。

 

磯谷
役割分担が明確になっているのかもしれません。もちろんプロジェクトを推進する中で、私たちとお客様の役割分担も決まっています。しかし、時にはその壁を乗り越えてお互いに知恵を出し合いながら、課題解決に取り組まなければならないことがよくあります。これは日本的な進め方なのかもしれません。
プロキャディの仕事も海外では厳密にここまでと決まっていて、そのラインを越えるべきではないという感覚なのかもしれませんね。

 

森本
試合後の練習に必要なのはコーチ。プロキャディには、その役割を求められていないのかもしれません。

 

磯谷
最近では、海外のツアートーナメントで活躍する日本人プロゴルファーが増えていて、ゴルフファンとして非常に嬉しく思います。海外のツアートーナメントに参戦する際、日本からプロキャディを帯同する理由は何ですか。現地のプロキャディの方が、よりトーナメントコースに詳しいのではと思ってしまうのですが、どうなのでしょうか。

 

森本
まず言葉の問題が大きくあります。プロゴルファーが、母国語で言いたいことが言えて、正しく伝わる安心感です。海外のツアートーナメントでは、普段以上に抱えるストレスも多く、メンタル面もサポートできることが大きいと思います。

 

磯谷
日本企業の現地海外工場では、日本人が工場長を務めることが多いようですが、ほかの幹部やスタッフのほとんどは現地の方で、全ての業務を任せてしまうのが不安だという声をよく耳にします。そのため私たちが現地に行くと、非常に喜んで迎え入れてくれ、実はこういう悩みがあってと本音で話してもらえます。 現地での業務やシステム活用調査と日本人幹部の考えや懸念点を擦り合わせて、最適なシステム提案をしています。

 

森本
プロキャディに寄り添って支えてほしいという気持ちは、日本独特のものなのかもしれません。海外選手がプロキャディに頼らないのは、個が強いからでしょうか。海外のプロゴルファーは、よく家族で動いていますが、日本だとプロゴルファー同士で食事や練習に行くことが多いです。もちろんお互いにライバルという関係は、国内外問わず同じですが、海外のプロゴルファー同士の空気は常にピリピリしていて、仲が悪いのかなと誤解しそうになります。これは風土の違いによるものかもしれません。

 

磯谷
日本企業はこれまで高品質を強みにして、国内市場の厳しい戦いにおける成果をステップに、海外市場への進出を果たしてきました。しかし、海外の企業は最初からグローバルな市場をターゲットにしていて、製品だけでなく業務やシステムもグローバル標準化させて、一気にシェア獲得を目指します。このギャップをどう埋めていくかが大きな課題です。
日本企業は生産拠点を海外に移転しますが、情報システム部門や管理部門は日本から動きません。海外で戦うのであれば、一緒に現地に行ってグローバルチームとして、事業展開するべきだと考えています。そうすればローカル要件の情報収集も容易になり、現地のいいところも取り入れて自社の強みに変えられるはずです。

 

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森本
海外に遠征するプロゴルファーを支えるためには語学だけでなく、物おじせず、積極的にコミュニケーションができる力を養う必要があります。現地のプロキャディやスタッフといい関係を築くことが、海外のツアートーナメントで日本のプロゴルファーが活躍する下地を整えることに繋がると考えています。

 

データを超えた世界で価値を提供する

 

森本
ゴルフというスポーツは長い間アナログのまま進化していません。たとえば、私たちがトーナメントコースを調べる時に使うメモは、常に紙に手書きです。本来であれば、タブレットの方が便利なはずです。たとえば、プロキャディが集めたコースのデータをデジタル化し、閲覧できるようにすれば、コースマネジメントにきっと役立つでしょう。さらにこのホールは、ドライバーで打つとボギーになる確率が高いといった情報が手元にあれば、私も知りたいです。企業だけではなく、ゴルフというスポーツにもデジタル化を進めないといけません。

 

磯谷
ゴルフ用品メーカーは、アマチュアも使っている距離計のデータを活用してギア開発に取り組んでいると聞いたことがあります。また、街中の室内練習場のシミュレーションゴルフで腕を磨いている方もいます。しかし、プロゴルファーを支えるデジタル技術の活用はまだまだこれからなのかもしれません。

 

森本
たとえば、グリーンのラインひとつとっても、いろんなデータがとれるはずです。芝目も傾斜も目で見て打っていく。昔から何も変わっていません。10年後には変わっていてほしいと強く思います。

 

磯谷
私たちがお客様に提供しているソフトウェア・ベンダーであるSAP社は、サッカーのドイツ代表のワールドカップ優勝に貢献したことで知られています。データを分析して、細かくパスを回す戦術で勝率を上げることに成功しました。しかし、その後、その戦術に固執するあまり、ドイツはスター選手の力を生かし切れなくなったのではないか?と言われるようになりました。
世界最高峰のレベルで競うには相手の裏をかく意外性のあるプレーがないと勝ち続けるのは難しい。数字やデータは確かに重要ですが、それだけでは割り切れない世界があります。いわゆるイノベーションの領域に対してどうサポートしていくかも、私たちの新たな役割・使命だと考えています。

 

森本
たしかにそう思います。データは有効ですが、戦うのは人間でメンタルが影響する部分も大きいです。最終的には、人間力ということに繋がると考えています。

 

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磯谷
近年のスポーツ界は、若手の活躍が目覚ましいですね。アスリートではありませんが、将棋の藤井聡太プロはAI将棋という新しい武器もフル活用して、タイトルを席捲しています。プロゴルファーの若手が活躍しているのも、新しいトレーニング方法が大きく影響しているのでしょうか。

 

森本
1つはゴルフギアの性能が上がっていて、簡単に真っすぐ遠くへ飛ばせるようになったことです。最近の若手プロゴルファーは自分に合ったギアをうまく使いこなしています。体格が向上したこともありますし、ゴルフを始める年齢が下がっていることも影響していると思います。これからは、ますます世界の舞台で活躍できるプロゴルファーが増えていくでしょう。我々協会としては、そうしたプロゴルファーを海外のトーナメントで支える若手のプロキャディ育成に力を入れたいと考えています。

 

磯谷
今日、改めてお話しを伺って、国内外で戦うプロゴルファーを支えるプロキャディのみなさんの姿勢や考え方、プロフェッショナリズムから学べることはとても多いと感じました。雨の日も風の日もパートナーとして選手をサポートし、戦いに挑んでいく。コンディションのいい時ばかりではなく、不調の時があるのは私たちのお客様も同じです。そうした状況も含めてプロフェッショナルとして寄り添っていく姿勢を、社員一人ひとりに根付かせていきたいと考えています。これは日本プロキャディー協会さんへのスポンサーシップから私たちが得られる大きな学びに他なりません。

 

森本
ありがとうございます。日本プロキャディー協会を立ち上げたのは、プロキャディという職業を広く世間一般の方々に知っていただきたいという思いからでした。このスポンサーシップによって、プロキャディという職業の認知度が上がっていけば、プロキャディを志望する人も増えていくと思います。これからはトーナメントの中だけでなく、プロキャディが活躍する場を広げられるように努力します。

 

磯谷
私たち自身も、企業のITパートナーとしてプロキャディのような役割を担っていることを多くの人に理解していただきたいと考えています。
今後もスポンサーシップを継続しながら、相互にいい影響を与え合うことで関係性を深めていきたいと考えています。本日は楽しいお話をありがとうございました。

 

森本
こちらこそ、ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

 

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