株式会社NTTデータ グローバルソリューションズ

コラム

勝負に勝つため、上達するためのビジョンと戦略眼のメイン画像

勝負に勝つため、上達するためのビジョンと戦略眼

グリーン上のカップに、ボールを最も少ない打数で入れた人が勝ち――。

ゴルフは、幼児でも理解できそうなシンプルなルールで勝敗が決まるスポーツです。ところが、がむしゃらにゴルフクラブを振り続けるだけでは、決して良いスコアが出せない奥の深いスポーツでもあります。

これから攻略する各コースの特徴や状況、加えて当日の天候や風の強さなど、さらには自身の技量を念頭に置き、次にどのようなショットを打つべきかイメージしプレーしなければ、狙った結果も求める満足感も得られません。

 

ビジョンと戦略のスポーツ

 

ゴルフにおいて、より遠くに、より正確にボールを打つといった身体的スキルはもちろん大切です。

ですが、個々のホールを攻略する際には、第1打を打つ前に、どのようなスコアを、どのような手順で出していくのかといったビジョン設定と戦略眼、言い換えれば頭脳的なスキルを駆使してはじめて、よい結果を得ることが可能です。

 

実はゴルフにおいては、身体的スキルの優劣よりも、「コースマネジメント」に求められる頭脳的なスキルの方が、よほどスコアメイクに大きく影響するとさえ言えます。

すぐそこに見えるピンを狙って、深く考えずに一か八かの池越えを狙ったら大たたきしてしまった。

そのような経験は、誰もがしたことがあるでしょう。そうした場合、自身の技量をよく考えてみれば、細かく刻んだ方がラウンド後のスコアはよほど良かったはず、と悔やむことにもなりかねません。

 

良いスコアで回っているプレーヤーの多くは、1打目を打つ前にコース全体を俯瞰して、2打目以降のことも考慮しながら、今打つべきティーショットをイメージしているものです。

自身の技量を客観的に考えながら、カップインする時点から逆算して、そのコースを無理なく攻略するための手順を考えています。

 

このようにゴルフは、ビジョンと戦略が勝敗を決するスポーツです。

たとえ今攻略しているホールで多少スコアを落としたとしても、他のホールでいくらでも挽回できます。スコアメイクするためには、コースの特徴や天候などを考慮しながら、リスクを回避すべきところと勝負どころを見極め、ラウンド後に最良の結果が得るためのシナリオを描く洞察力、戦略的な思考が求められます。

 

加えて、シングルプレーヤーのような上級者の戦略が、必ずしも万人にとって最適ではないことにも注意する必要があります。

上級者の戦略をビギナーがやみくもに実践しても、スコアは改善することなく、大たたきの道をまっしぐらとなることでしょう。

例えば、100を切るスコアを目指す際には、9ホールのダブルボギーと9ホールのボギーで達成できるため、常に最少打数を目指さなくてもかまいません。

プレーヤー自身の目標を各ホールに振り分けて、合理的にコースマネジメントを考えることが、目標の達成に近づきます。自身のスキルを客観的に見ながら、ビジョンと戦略を描くことが大切です。

 

練習にも不可欠な戦略的視点

 

ラウンドでのスコアメイクだけでなく、上達に向けた練習においてもビジョンと戦略は不可欠です。

練習場でひたすらボールを打ち続けたり、ゴルフ場で漠然とラウンドしたりするだけでは、なかなか上達しません。戦略なく練習を続けてしまうと、逆に悪い癖が抜けなくなる可能性さえあります。

 

ゴルフの上達には、ビジネスでいうところの「PDCAサイクル」の実践が欠かせません。

例えば、どのようなショットを打ちたいのかをイメージし、よりよい結果を得るための方法を考え抜き(Plan)、集中・全力を尽くして練習やラウンドをします(Do)。そして、ラウンド後にその日の自身のプレーや一打一打のショットを振り返り(Check)、改善すべき点を明確にして練習や次のラウンドでの目標を立てる(Action)というサイクルの繰り返しが求められます。

具体的な例を挙げるとすると、コースに出てラウンドする際に、その日のスコアメイクを最優先すれば手堅いショットを打った方が得策だったとしても、長期的視野に立って、あえて練習してきたショットを試してみた方が、上達を早める貴重な気付きが得られる可能性があります。

ビジネスの世界においても、新規ビジネスの立ち上げ前に、概念実証(Proof of Concept:PoC)やフィジビリティ・スタディを実施して、事業効果や実行可能性を検証することがあります。ゴルフでも同様のアプローチが効果的だと言えそうです。

 

ビジョン・戦略の大前提は、正確な状況把握

 

vision-and-strategic-02.jpg

 

 

では、コースの攻略や上達に向けたビジョンや戦略を適切に立てる際には、まず何をしたらよいでしょうか。

その答えのひとつが、世界中の名だたる経営者が座右の書としている中国の兵法書「孫子」の中にある最も有名な一節、「彼を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉に集約されています。

正確で客観的な状況把握が第1歩となるということです。それぞれのプレーヤー、それぞれのコース、さらにはゴルフをプレーする目的によって、最適なビジョンや戦略は大きく異なります。だからこそ、よりよい結果を得るためには、状況把握が重要です。

 

ビジネスとゴルフは、戦略的思考が重要である点で共通しています。そして、描いたビジョンや戦略を、冷静に、ひるむことなくやり抜くことが重要な点も同じです。ビジネスでもゴルフでも、描いたビジョンと戦略が想定通りに進まないことはよくあります。

趣味のゴルフで失敗したとしても悔しさを感じる程度で済みますが、重要なビジネスにおけるプロジェクトがビジョンや戦略不足で失敗してしまうと、ダメージは甚大です。

ゴルフは、ビジネスに不可欠な戦略的思考力を磨き、深い学びが得られ、自分自身を高められるスポーツだと言えるでしょう。

 

Copyright © NTT DATA Global Solutions Corporation. All rights reserved.