SAP Cloud ALMとは?~SAPシステム管理の頼もしい味方~
2023年3月27日
はじめに
NTTデータ グローバルソリューションズ(以下 NTTデータGSL)に於けるSAP Business Technology Platform(以下 SAP BTP)の位置付けと今回のブログについてご紹介します。
NTTデータGSLに於けるSAP BTPの位置付け
NTTデータ GSLでは、SAP社が提唱するIntelligent Enterpriseの基盤を担うSAP BTPに関するノウハウの蓄積並びにこれを活用したオファリング開発に注力しています。
今回のブログについて
SAPシステムを含むシステム管理の効率性の向上は、古今東西の運用管理担当者において共通のお悩みだと思います。NTTデータGSLも多くのお客様のシステムを構築から運用までお付き合いをさせていただいていますが、皆様同じ悩みを抱えています。
では、SAPシステムの運用管理に関わる全ての皆様に必見のツールとは!?それが今回のblogでご紹介する、ご存知SAP Cloud ALMです。
ほほぉ、その必見のSAP Cloud ALMはどのようなツールなのか?ここからSAP Cloud ALMの基本的な機能を具体的にご紹介します。
まずは序章としてお読みいただき、ご興味をもたれ、SAP Cloud ALMを活用していきたい!
というお客様とより良い運用管理環境を構築して参りたく、お声掛けをお待ちしています!! お問い合わせは こちら
SAP Cloud ALMとは
製品紹介
SAP Cloud ALMは、SAPソリューションのアプリケーションライフサイクル全体を通じて管理する仕組みです。
SAP S/4HANAの導入・移行のフレームワークであるActivate、並びに全世界のSAPユーザのお客様から得た業務知識を元に標準テンプレート化したBest Practicesといった、プロセス、ツールやサービスを含んでいるので直ぐに実践的で有効な活用が可能です。
プロジェクト特性に応じて選択するテンプレートを元にして、ユーザが中身を熟知していなくても自動的に様々なタスクを設定することができます。もちろん、プロジェクト要件の管理やテスト管理も含んでおり、個別にカスタマイズをすることなくスピーディなプロジェクトの立ち上げから着実な推進まで一貫してサポートします。
SAP Cloud ALMには今回のblogでフォーカスするSAPソリューションの監視やサービスの可用性確認をSAP製品と親和性高く実現する機能があります。
また、運用の自動化機能も備えているので、管理台数が増える毎に工数が漸増する運用業務の効率化が実現可能といえます。
SAP Cloud ALM for Operationsを用いたヘルス監視
システムの全体的なパフォーマンス維持および安定運用を図るために必須のCPU使用率を監視することを目的に、ヘルス監視の機能を実際にSAP BTP上に設定しました。なお、検証時の全体の構成を簡略化したイメージは下図の通りです。
SAP Cloud ALM(監視する側)から、SAP BTP上に構築したPaaSの開発基盤であるABAP環境(監視される側)のCPU使用率を確認します。
SAP Cloud ALMで監視を実施するためには、SAP BTPとABAP環境への接続許可をユーザで実施する必要があります。
その後にSAP Cloud ALMの画面からCPU使用率を確認しました。
接続手順
こちらのリンク(SAP Support Portal (日本語サイト)ページ内記事にリンクします)を参照し、SAP Cloud ALMの監視対象であるABAP環境の接続を行いました。設定方法の概要は下記の通りです。
監視対象の環境側(ここではABAP環境を指します)で許可設定をすることで、SAP Cloud ALMが接続先環境を認識できます。
※SAP社が提供するSaaS製品との接続設定方法については、こちらのリンク(SAP Support Portal (日本語サイト)ページ内記事にリンクします)から確認ができます。
- SAP BTPコックピットでの作業
1-1 「宛先」にSAP Cloud ALMの接続情報を登録します。
1-2 SAP BTPとSAP Cloud ALMを連携させるためにインスタンスを作成します。
- ABAP環境での設定
2-1 「通信の手配」からSAP BTPコックピットの接続サービスインスタンス(1-2で作成)に接続するための接続情報を設定します。
2-2 SAP Cloud ALMに情報を連携するための接続設定を行います。
監視状況の確認
ABAP環境との接続ができましたので、SAP Cloud ALMにログインし、実際に監視状況を確認していきます。SAP Cloud ALMのヘルス監視よりABAP環境のシステム状況を確認しました。
おわりに
感想と賢明な読者の皆様へ今後に期待することは以下になります。
今回の検証を踏まえた感想
✔ 事前に調査した際に読み解いたSAP社の情報の分量には少し取っ掛かりに怯んだが、実際のセットアップの作業は簡単で設定完了までのハードルは低かったです。
✔ 別途、監視ツールを導入せずにSAPシステムを監視できるので、ライセンスの更新などの保守が楽になるのではないかと思いました。
→ SAP製品以外の3rdパーティの利用は過去では当たり前であったがライセンスを含む種々の管理工数を低減可能です。
✔ なお、残念ながら現時点ではドキュメントや情報の検索は容易ではなく、一定程度以上のSAPシステムに関する知識や経験はMUSTです。
→ 情報が纏まっているとされるサイトはあるものの、SAP Support Portalに比較するとまだまだこなれていません。
✔ 監視の対象とする製品毎に監視できる項目が異なり、過去の経験に基づく監視要件には不足する可能性が高いです。一方で監視できる項目(今回の検証ではCPU使用率)については、従来の監視ツール同様の監視ができます。
→ SAP BTP上のシステム監視ならSLAに纏わる項目はSAP社に任せる、既存の監視ツールを流用するなど割り切りが必要です。
SAP Cloud ALMはEnterprise Supportの契約のもと追加費用なし利用可能なツールではありますが、トラブル発生時や保守運用には大きな効力を発揮します。
また、今後も次々と新機能が追加され、ますますSAPシステム管理者に頼りになるツールになるでしょう。
NTTデータGSLではSAPシステムの導入支援や運用のサービスを提供しています。
SAPシステムの導入や運用保守でお困りごとがありましたら、下記よりお問い合わせください。