原価管理とは?原価管理を効率的に実現するためのシステムの活用方法をご紹介
適切な原価管理は、企業の業務を改善し、収益性を高めるために必要不可欠です。
今回のコラムでは、原価管理について。そして、煩雑な原価管理を効率的に実現するためのITソリューションの活用についてご紹介します。
原価管理とは
原価管理とは、製品を製造するためにかかる原価を、項目ごとに分類し、当初の想定と実績値を比較して課題を把握すること。そして、原価を下げる改善活動を行うことを指します。
管理を行う目的は、原価を適切に管理することで、業務改善や利益向上につなげることが出来るからです。原価管理は、「原価企画」、「原価維持」、そして「原価改善」という3つの基本的な活動で構成されます。
原価企画
製品企画を行う際、その製品に投じても良い原価を決めることです。例えば、1,000円で売りたい製品原価が1,500円だとしたら、売れば売るほど赤字です。そういった事が起きないよう、想定する販売価格と利益率から、原価を設定するのが原価企画です。
原価維持
原価維持とは、原価企画で設定した原価を維持する取組みです。材料費や人件費の高騰など、原価が上がる要因は様々ですが、こういった際に仕入先の変更、製造工程の変更をはじめとする対策を講じて、想定原価を維持します。
原価改善
原価をさらに低減するための取組みです。同品質で、より安価な素材を探す。また、IT技術の導入を通じて、原価を下げることができれば、利益率が改善できます。
このように、企画、維持、そして改善のプロセスで原価を管理していくことが、原価管理です。
原価計算とは
原価計算とは、製品の生産に必要な原価を計算することです。材料費や労務費などの直接費。また、光熱費や間接費などの諸経費などを合計し、その総額を販売個数で割れば、商品一つを生産するのに必要な原価を導き出すことができます。
例えば、製品一つを生産するのに必要な材料費が500円、労務費が300円、その他の経費が200円の場合、その製品原価は1,000円です。もし材料費が500円から700円に値上がった場合、原価は1,200円になります。このような計算を行うのが、原価計算です
原価計算との違い
原価計算とは、製品の生産に必要な費用を計算するだけです。
一方、原価管理は、利益の向上を目指し、原価の維持や改善などを行います。原価計算を行っているだけでは、原価管理を行っているとはいえません。
原価管理の必要性とその目的
原価管理は、業務の改善や利益の向上を実現する上で不可欠です。その理由は、大きく2つあります。
損益分岐点の把握
例えば、原価300円、価格1,000円の製品を1,000個生産したと仮定します。この場合、原価は30万円です。この製品の粗利は700円で、429個販売できれば、販売額が総合原価を超え、利益を得えます。このように損益分岐点を把握することで、利益を確保するために、適切な販売計画をたてることが可能です。
無駄の見える化と改善
これは原価改善の活動を通じて、原価の無駄を見える化し、改善を図れます。具体的には、製品あたりの製造原価を算出し、想定する原価と実績を比較して問題点を分析し、改善策を講じて実行する。この原価管理のプロセスを厳密に繰り返していくことで、原価の低減や生産プロセスの最適化。また、販売価格の適正化を実現できるでしょう。
中長期的な視点で、高収益な企業体質を作り上げていくためには、原価計算だけでなく、原価管理を行っていくことが必要です。
ITソリューションを活用した原価管理手法
原価には様々な項目があり、その管理はとても煩雑です。例えば、原価管理をスプレッドシートやExcelで行っている企業もあり、間接費の割り振りや変動費の計算。また、部品の標準化による複数製品の原価管理をまとめて、実施作業をExcelで正確に行うのは非常に困難です。このような時に役立つのがITソリューションの活用です。
例えば、PLMやERPなどの連携を通じて、ヒトの手による管理を削減できます。具体的には、同じ部品を複数製品で利用することで、利用する部品の種類や点数を減らすことができます。
結果、部品の購入価格を下げることが可能で、工数を削減できます。このような検討を行うためには、まずBOM(部品表) を中心に、図面や設計仕様、コストなどの情報を一元的に管理し参照できるPLMが役立ちます。また、PLM や ERP からの情報を活用により、想定した原価と実績の比較、部品の追加や削除による影響を分析することが可能です。
このように、PLMとERPとの連携が、設計と生産のデータを一元的に管理し、原価管理を効率的に行うことを図れます。
NTTデータ グローバルソリューションズは、2021年7月より、個別生産型および多品種少量生産型製造業向けに、部門横断での業務効率化、設計と生産の連携システムの実現。そしてDXを推進するサービス「PLM-ERP連携アセスメント&PoCサービス」を提供しています。
このようなサービスを活用することで、効率的な原価管理を行え、不確実性が高い世の中でも、生産プロセスや収益性の改善を実現できます。
関連サービス
- インプリメンテーション ERPソリューションを中心に据えながら、デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するための基盤や関連する業務システムとの連携、データ活用など、お客様の課題を解決するためにシステム特性を理解したプロフェッショナルがご提案します。
関連資料
-
PLM-ERP連携アセスメント&PoCサービス
近年、製造業においては、情報社会化の進展や技術発展によるニーズの多様化により、多くの製品において少品種大量生産から多品種少量生産への転換が求められ、経営にも影響を与えかねないほどの課題を抱える企業も多いのが現状です。本サービスは、この課題に対応するアプローチの一つであり、設計データを管理するPLM(Product Lifecycle Management:製品ライフサイクル管理)と調達、生産などのデータを管理するERP(Enterprise Resource Planning:統合基幹情報システム)のシームレスな連携の実現を支援し、製造業のDXを推進してゆきます。 ダウンロード
-
不確実な時代に応える変化に強いものづくりの実現
多くの製造業が抱える大きな課題として「不確実性の高まる世界」への対応が挙げられます。
こうした先を見通すことが難しい時代だからこそ、「変化に柔軟に対応できる強いものづくり」の実現が強く求められます。そこで、NTTデータGSLは今まで部分最適で行ってきた「設計と生産」に着目し、その両者の壁を解消に、いかにコストを抑え、そしてスピーディに生産と設計の連携を深める、不確実な時代を勝ち抜く「データに基づくものづくり」の実現を提案します。 ダウンロード