顧客管理とExcelの関係とは?顧客満足度をあげるための顧客管理手法をご紹介
顧客管理をExcelで管理することが年々困難になり、限界を迎えています。その理由の一つとして、顧客のニーズが今まで以上に多様化し、サービスや商品の差別化が難しくなっています。そのため、顧客のニーズを正確に理解し、顧客満足度を上げることがますます重要です。
今回のコラムでは、顧客満足度をあげるために必要な顧客管理とは。そしてExcelを用いた顧客管理におけるメリット、デメリットを分かりやすく解説し、Excel以外の新たな管理手法(CRMの活用)についてご紹介します。
ぜひ、ご一読ください。
INDEX
顧客管理とは
顧客の属性や嗜好、過去のマーケティング施策に対する反応、購買履歴など、顧客に関する様々な情報を管理することです。
個々の顧客のニーズを深く把握し、長期的に良好な関係性を構築・維持することで、顧客生涯価値(ライフタイムバリュー(LTV):ある顧客から生涯に渡って得られる利益のこと)を最大化させることが、顧客管理を行う目的です。
参考記事
- 顧客生涯価値(LTV)とは?LTVの意味とその計算方法。そしてLTVを高めるポイントを解説 顧客生涯価値は、顧客が自社と取引を開始してから終わるまでの間に、どれだけの利益をもたらすのか、その総額を表す指標です。近年、市場が成熟化により、新規顧客獲得よりも既存顧客と良好な関係を築き、リピート購入などに繋げ、より顧客のLTVを高めることが重要視されています。そこで今回は、その顧客生涯価値を高めるためのポイントについてご紹介します。
Excelで管理するメリット・デメリット
顧客管理を実行するためには、顧客に関する多様なデータを入力、蓄積するためのシステムが必要です。
一般的に多くの企業に利用されているのが、Excelです。Excelは、企業で使用されるほとんどのPCにはインストールされており、追加費用無しで利用開始できる点が大きなメリットです。
また、Excelは他の業務で使われることが多く、基本的な使い方を理解している人が多いことから、教育コストを抑え、円滑に導入できるという点もあります。インターネット上には、無料で利用できる顧客管理用のテンプレートが多数公開されているため、これらを利用することも可能です。
Excelによる顧客管理には上記のようなメリットがありますが、デメリットも存在します。
たとえば、Excelは複数人で同時に編集することが難しく、同時にアクセスしてする作業や編集を行うことが困難です。
また、入力したい時に作業が行えず、結果として入力のし忘れといったことも起こるでしょう。
加えて、管理する顧客の数が増え、数万を超えるデータを持つ場合、ファイルの容量が大きくなり、動作が遅くなることがあります。
結果、大規模な顧客情報の管理には適さない場合があります。
Excelで管理する上での問題点
Excelで顧客管理を行う上でいくつか問題点があります。今回は、その代表的な例をご紹介します。
たとえば、担当者以外によるデータ改変や削除を防ぐために、シートの保護やセルロックが必要です。
また顧客管理業務において、属人化が起き、担当者が不在時における顧客とのやり取りに支障がでる恐れがあります。
最後に、担当者が入力するデータの形式が不揃いだと、データの整理や集計を行えません。顧客名や商品名の入力スタイルが統一されていないと、Excel上は全て異なる値として処理し、新たなマーケティング施策を検討するのが困難です。
CRMで管理するメリット・デメリット
Excel以外の顧客管理手法の一例として、CRMの活用があります。CRMとは、「Customer Relationship Management(顧客情報管理)」の略で、あらゆる顧客情報を統合的に管理し、良好な関係性を長期的に築き上げ、サービスや製品の利用を継続的に促す経営手法、あるいはそのために活用されるツール全般を指す言葉です。
CRMで管理するメリットとは
CRMに登録した顧客情報はリアルタイムに共有され、いつでもどこからでも確認でき、顧客情報の属人化を防ぐことが可能です。
また、部門を越えて、例えば営業部門とマーケティング部門で情報を共有することも容易です。
そして、CRMに蓄積されたデータを分析し、マーケティングに活用していくことで、顧客満足度をさらに高めることができます。たとえば、過去のマーケティング施策に対する顧客の反応を分析することで、次回はより効果の高いタイミング、手法で顧客にアプローチする施策を検討できます。
こうした、PDCAサイクルを回すことができるのも、CRMのメリットです。
CRMで管理するデメリットとは
一方、CRMにもデメリットがあります。それは、自社に適したシステムの選定や導入、初期設定に時間がかかることです。
また、Excelと異なり、導入や運用には追加費用が発生します。
さらに、CRMに搭載されている分析機能などを使いこなすためには、ある程度の専門性が求められます。会社の規模や抱える顧客数が小さいのであれば、Excelでも十分な場合もあります。ただし、大規模な顧客データを管理し、顧客満足度を上げていくためには、CRMを活用していくことが有効です。
参考記事
- CRMとは CRMを通じて顧客を管理することで、適切なタイミングに顧客との接点を持つことができ、そして良好な関係性を長期的に築き上げることが可能です。本記事では、CRMについて詳しく解説をしていきます。
SAP社が実現する顧客管理
こうした顧客管理ツールの一つに、SAP社が提供しているSAP Customer Experience ソリューションがあります。
SAP Customer Experience ソリューションは、「SAP Sales Cloud」、「SAP Commerce Cloud」、「SAP Service Cloud」、「SAP Customer Data Cloud」、「SAP Marketing Cloud」の5つのサービスで構成され、ほとんどの顧客とのコンタクトポイントをカバーしています。
SAP Customer Experience ソリューションは、SFA、CRM、コマースなどバラバラだったフロント業務のソリューションを統合するものですが、自社のニーズに合わせ、それぞれのコンポーネントを個別に導入することも、複数なコンポーネントを選択して連携しながら活用することも可能です。
また、SAP Customer Experience ソリューションは、同社が提供する次世代ERP「SAP S/4HANA」と連携し、動作するため、契約管理や在庫引当、出荷/配送といった業務データと、顧客のコンタクト情報や過去の支払情報などの各種情報を紐づけることができます。
SAP ERP、そしてアナリティクス機能と連携することで、さらに進化した顧客体験を提供し、顧客満足度をあげましょう。
参考記事
- SAPとは SAPは、「経営・業務の効率化」や「経営の意思決定の迅速化」を実現することを目的に、多くの企業で導入されているITソリューションです。このITソリューションにより、企業の経営資源である「人・モノ・カネ」の情報を一元で管理ができ、そして経営の可視化を実現できます。本コラムでは、SAPについて詳しく解説をしていきます。
- ERPとは?ERPと基幹システムとの違い・導入形態と導入の流れを解説 ERPとは、企業の基幹業務の統合化を図り、企業のあらゆる業務プロセスを一元的に管理するためのシステムです。ERPを導入することで、業務の効率化やコスト削減といったメリットを得られます。本コラムでは、ERPパッケージについてまとめ、導入を実現するためのポイントを分かりやすく解説します。
- SAP S/4HANA とは?SAP S/4HANAの特徴と2027年に向けて何をすべきかを分かりやすく解説 企業が取り扱うデータ量は今後も増加し続けることが予想される中、既存システムの改良ではなく、新しいアーキテクチャでERPを新しく作り直すという発想から生まれたSAP S/4HANAについてご紹介します
関連サービス
- SAP Customer Experience ソリューションSAP® Customer Experienceソリューションは、クラウドベースのCRMプラットフォームで、マーケティング領域から営業領域まで幅広い範囲をカバーできます。
関連資料
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Integration Package for SAP® Sales Cloud
企業活動の最前線である営業フロントとバックエンド基幹業務のシステム同士が、十分に連携されず課題を抱える企業が多いのが現状です。そこで、お客様の営業プロセス(SFA)と基幹業務プロセス(ERP)連携を実現する「Integration Package For SAP🄬 Sales Cloud」を提供します。
本サービスは、WebサービスなどのAPIを意識したデータ連携ではなく、SAP社が提供するSAP® Business Technology Platform(SAP BTP)による、SAP Sales CloudとSAP S/4HANA Cloudのプロセス連携です。これにより、顧客を起点とした情報価値の高度化と業務プロセスのシンプル化を実現します。 ダウンロード -
Starter Package for SAP® Sales Cloud
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