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ERPとは


最近、”ERP”という言葉を見たり、聞いたりする機会が増えているのではないでしょうか。IT系の媒体だけではなく、経済紙やビジネス系のオンラインメディアでも日常的に関連記事が掲載されています。しかし、「ERPとは何か?」と聞かれると、意外ときちんと理解しておらず、日々使用している人たちですら、他人に説明するのは難しいということもあるのではないでしょうか。今回は、ERPを理解する上で欠かせない経緯をもとに紐解いてみましょう。

ERPとは何か?

まず、「ERP」を用語辞典で検索すると、「総務や会計、人事、生産、販売など企業の基幹情報を統合的かつリアルタイムに処理し、効率的な経営スタイルを目指す経営概念」であると記載されています。ERPはEnterprise Resource Planningの頭文字をとった略語で、”企業資源計画”と訳されています。一般的には、「企業活動におけるあらゆる情報を連携・集約した統合基幹業務システム」を意味しています。より理解を深めるために、その歴史から見ることにしましょう。

ERPの背景

そもそも、ビジネスでコンピュータが用いられるようになったのは1960年代後半から1970年代であり、当時の日本はメインフレームによる統合環境下での集中処理が一般化していました。メインフレームは、大手企業を中心に導入された基幹業務用の大型コンピュータで「汎用コンピュータ」や「汎用計算機」とも呼ばれています。当時、メインフレームは非常に高価なものであったため、市場は大手企業が中心でした。財務会計や生産管理など、各企業の基幹業務にはメインフレームが使われていましたが、一方で、部門や業務ごとにそれぞれの処理やシステムが存在し、分散していたのも事実です。こうしたメインフレームによる業務処理は企業の業務効率を劇的に向上させましたが、一方で当時のコンピュータはそれぞれに仕様が異なっていたため、分散した異なる業務システム同士の相互接続に手間を要し、連携する業務のデータを統合することが大きな課題でした。

ERP誕生

そこで登場したのがERPです。ERPは、分散化され連携されていない業務システムを同じアーキテクチャで統合して作成し、一つのシステムにすべて搭載することで、データ連携と業務効率を向上させるものです。これを実現するために開発されたのが、1973年に登場したSAP社の「R/1」です。当時、SAP R/1は、メインフレームで動作するアセンブリ言語で記述されたものでした。ERPは革新的な情報システムとして注目され、大手企業を中心に導入されはじめました。1990年代終わりから、日本では、「ERPを導入すること」が、大企業を中心にひとつのブームともなった時代があり、多くの企業が、「ERPの導入」による「経営の効率化」と「早期の意思決定」という新たな舵を切り始めました。経営情報を早く正確に開示すること、スムーズな企業合併や流動化する人材のためにオープンで共通な情報基盤を短期間で稼動できること、世界規模で活動するグループ企業の経営情報を瞬時に把握できることなど、これらの要素が成功を支えるための企業システムの前提条件になったのです。こうして基幹システムは、業務ごとに分散した処理とデータを統一化する方向に大きくシフトされていき、これを強力に推進する仕組みとして「ERP」を導入する企業が急速に増えていきました。

日本におけるERPの普及

当時の日本は、バブル崩壊の影響で不況のあおりを受け、多くの企業がリストラなどによる人件費やコストの削減を行っていました。こうした状況から脱するために、日本でもBPR(Business Process Reengineering)に注目が集まるようになります。BPRとは、業務改善に留まらず、組織活動のプロセスを根本から再構築することで、全体最適の実現を目指す考え方です。こうした動きが活発化する中で、情報管理の中枢を担うシステムとして位置づけられたのがERPでした。しかし、海外企業と日本企業ではそもそも商習慣が異なるため、「海外企業のベストプラクティス」に日本企業の独自の業務や商習慣をフィットさせるためにアドオン開発が多くなり、導入コストとシステムは肥大化していきました。その結果、日本企業のERP導入の多くは投資対効果が見合わず「失敗」と認識されるケースも出てくるなど、課題も多くありました。しかし、現在ではクラウドERPも一般化してきており、インフラの初期投資が必要なく、かつ複雑なシステム構築も不要になったことから容易にERPを導入することが可能になり、IT投資に積極的な大手企業のみならず、ERPを低コストで導入したい中小企業の間でも、ERPの普及が進み、現在では企業規模に関わらず普及してきました。

ERPの種類

ERPには「オンプレミス(従来型)」、「クラウド」、「オンプレミスとクラウドのハイブリッド型」という3つの主要な導入モデルがあります。従来はオンプレミスでの構築が一般的でしたが、現在はERPもクラウド化が進んでおり、IaaS上に構築する方法に加え、基本的にはカスタマイズせず標準的な機能を利用するSaaS型のERPも増えています。さらに、業務やデータによってオンプレミスとクラウドを組み合わせるハイブリッドでの構成もあります。

また、別の分類としてERPは「統合型」、「業務ソフト型」、「コンポーネント型」の三つの種類に大別されます。一般的には統合型のイメージが強いですが、導入の目的や用途によって、自社に最適な種類を選択することが可能です。

企業活動を大きく変えるERP

ERPの導入は、企業活動に多大な影響を与えるとともに、一般的には大きなコストやリソースをかける巨大プロジェクトになります。そのため、導入にあたってはリスクを洗い出し、慎重に進めなければなりません。自社にとって最適なERPを選択することができず、また、導入による費用対効果が期待できない、などの理由から、導入を断念するケースも少なくありません。導入を検討する際は、何を改善したいのか、どのような効果を得たいのかといった目的の設定が重要になります。また、導入効果の目標をあらかじめ設計しておくことで、費用対効果の判断ができます。ERPで集約したデータをどのように生かしていくかなど、活用方法を具体的にしておくこともポイントです。また、ERPの導入では、現在の状況を改善するだけでなく、将来的にも対応可能なシステムであるかどうかを検証することが極めて重要です。社内の体制や事業内容が変わる可能性を検証するだけでなく、当然、外部環境の変化による影響も考慮しなければなりません。せっかく導入したシステムがすぐに使えなくなってしまう事態を防ぐためにも、将来を見据えたフレキシブルなシステム構築が重要です。グローバル化の進展やビジネス環境の変化などにより、既存の基幹システムに限界を感じている企業も多いことでしょう。自社の戦略に合致したERPを導入することで、こうした悩みを解決し、デジタルトランスフォーメーションの時代において、今後の企業活動を大きく変えてゆくプラットフォームとなるのです。

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