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コラム

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スコアアップがすべてではない。
ゴルフに求める、人それぞれの満足感を高めるには

 

競い合うスリル、健康維持、ストレス解消、社会人としてのたしなみ。ゴルフに求めるものは、人それぞれです。たとえ上手でなくても、一人ひとりの価値観に応じた楽しみ方ができるスポーツがゴルフです。

アマチュアゴルファーがより大きな満足感を得るためには何をしたらよいのか、少し突き詰めて考えてみましょう。

 

満足感と達成手段が多様なスポーツ

 

プロゴルファーには、勝負に勝って地位と収入を得るという明確な共通目標があります。これに対し、アマチュアゴルファーがプレーを通じて求める満足感は、それぞれ異なります。もちろん、コンペなどで良い成績が出せればうれしいですが、勝負だけが満足感や楽しさの要因ではありません。

人々が趣味としてのゴルフに求めることは、まさに千差万別です。逆に言えば、個々の価値観に合った多様な目的を持ち得るところにこそ、ゴルフが持つ懐の深さを感じます。

また、ゴルフでより大きな満足感を得るための手段も多様です。良いスコアを出せるように、体力作り、技術の鍛錬、戦略・戦術眼の研鑽、メンタルの安定、道具の取捨選択などに励む人が多いのは確かです。

しかし、なかなか上達しなくても、ゴルフをプレーすること、コンペに参加することが大好きだという人は一定数います。実際、マナーを追求するような人や、ウェアなどで目立つファッション番長、コース・道具・技術に関する知識欲が旺盛な情報通、さらにはプレーを横に置いて会話術を徹底的に磨く人など、プレー以外の部分で存在感を見せつける人も見かけます。これはこれで、それぞれのゴルフの楽しみ方ではないでしょうか。

「接待ゴルフ」という言葉が、多少力を抜いて相手に花を持たせるという意味を含んだ言葉として使われているように、社交を目的として良い結果を出そうとすれば、必ずしも技術的に卓越している必要はないのかもしれません。むしろ、ラウンドの進行に迷惑を掛けないくらいの腕前で、接待する相手がアドバイスしたくなるくらいの方が、コミュニケーションとしては成功しやすい可能性すらあります。

 

満足感を得るための戦略とアクションを突き詰めて考える

 

たとえば、MLBで活躍する日本人選手が高校1年生の時に、プロを目指すために書いた「マンダラチャート」と呼ばれる目標達成シートが話題になったことがあります。まず、3×3のマス目の中央に大目標である「ドラフト1位、 8球団指名」を書き、周囲にそれを実現するためにすべき8つの項目として「体づくり」「コントロール」「キレ」「メンタル」「スピード160km/h」「人間性」「運」「変化球」を、さらにその周囲には、各項目を実現するためのアクションを8個ずつ詳細に書いたものです。

世界のスーパースターとなった現状を知ったうえでこの目標達成シートを見ると、その意識の高さに驚くと共に、「人間性」や「運」など、一流プロ選手になるためのプレー以外にも努力すべき点も挙げていることに感心します。そして、「運」を呼び込むためにすべきこととして、今もメジャーリーグ中継の中で目にする「ゴミ拾い」が書かれています。その努力の継続の徹底ぶりには畏敬の念を禁じえません。

ゴルフのプレーでNo.1を目指すためには、プロ/アマを問わず、相応の戦略・努力が必要です。たとえそれが、トータルなスコアでのNo.1ではなく、パッティングやサンドセーブなど1種類のショットでNo.1を目指すのだとしても同様です。さらに、社交やおしゃれ、情報通などでNo.1を目指すのにも同じような真剣な取り組みが必要になることでしょう。

何事も、頂点を目指すのであれば、人とは違った行動が求められます。MLBで活動する日本人選手のような目標とアクションの明確化までは望まないまでも、自分がゴルフに何を求めているのか見つめ直して、より大きな満足感を得るために何をしたらよいのかについて考えてみることも大切かもしれません。自分の価値観に合った目標を中心に据えて、適切な戦略を立てて継続的に努力すれば、これまで以上の満足感が得られることでしょう。

 

デジタル技術で多様な目標達成を支援

 

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求める価値とその実現手段が多様な点で、ゴルフは企業経営とよく似ています。

企業経営でも、単なる収益追求だけではなく、ブランド力の向上、雇用の確保、製品/サービスの供給責任の遂行、社会貢献、コンプライアンス遵守などといった企業価値につながる要因を複合的に向上させていくことを求められます。現代は多様性が尊重される時代です。株の時価総額のような総合的な企業価値指標もありますが、個別要因のNo.1である“ニッチトップ”企業も存在し、そうした企業は社会の中で魅力的な企業として高く評価されています。

企業価値を高めるにしても、ゴルフでの満足感を高めるにしても、何を目指しているのか、目標を明確に定めることが第一歩になります。これらは当事者が主観を交えて意思決定すべきことだからです。目標が定まらず、戦略やアクションが迷走してしまうと、成果を得ることは難しくなります。目標の実現に向けた戦略を策定し、アクションすべき項目を見定めるための方法論は、経営コンサルタントやゴルフのコーチがよく知っています。

企業経営では、目標設定や戦略策定などでの意思決定を支援する便利な統合ITシステムも利用されています。近年では、人工知能(AI)や機械学習など情報処理技術が高度に発達しています。多様な要因が複雑に絡み合う膨大な経営情報を解析することで、人の感覚では捉えにくい傾向を見つけて、より適切な目標や戦略を定めるためのヒントが得られるようになってきています。

このようなデジタル技術の活用は、企業経営だけでなく、スポーツや趣味の領域でも進んでいます。ゴルフに関しても、弾道計測やゴルフスイング解析といったデータ活用がすでに始まっています。また、NTTデータは全英オープンにおいてデジタルツイン技術を活用し、ドローンから撮影された画像に色や質感を反映させることで超高精細な3Dゴルフコースを再現し、ボールの位置をリアルタイムで地図上にプロットしています。視聴者は好みのコースマップを選択し、すべてのショット、選手、ホール、ラウンドを「ShotView」というブラウザアプリでリアルタイムに確認できます。このデータは全英オープン公式サイトtheopen.comのリーダーボード、ライブブログ、ショットビューにも組み込まれ、ゴルフファンに新たな観戦体験を提供しています。

今後も、ゴルフというスポーツにおけるデジタル化は進み、プレー予測や新たなゴルフファンを獲得するための価値を創造していくことでしょう。加えて、アマチュアゴルフにおいても、自分の価値観に合ったゴルフの楽しみを追求するために、デジタルが役立つ時代もすぐそこに来ています。

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