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チャットボットの用途は問合せだけではない!
SAP Conversational AIを使ってデータベースを停止する試み(2)

2022年1月 5日

  • 業務効率化
  • 自動化

本記事は「SAP Conversational AIを使ってデータベースを停止する試み」の後編です。

前回はチャットボットのひな型を作成し、言葉を学習させる方法についてご紹介しました。

言葉を理解できるようになった時点で、チャットボットが動く様子を実際に見てみたい!と思った方もいるかもしれません。早速、動作の確認をしたいところですが、このチャットボットには、まだもう1つ重要な要素を追加する必要があります。

今回は、その重要な要素の追加を中心にご紹介していきます。

スキルの追加

チャットボットは受け取った文章の意味に応じた行動ができます。この行動にあたる部分をConversational AIでは『アクション』と呼び、アクションを起こすきっかけを『トリガー』と呼びます。

これらをはじめとする、行動に関係する要素を一つのまとまりとし、『スキル』という単位で管理します。

スキルを追加するには管理画面からBuildタブを選択してスキル一覧の画面を出します。Add skillを押して登録するスキルの基本的な情報を入れます。

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各インテントに対応した処理を実行したいため、3種類のスキルを追加しました。

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Conversational AIにはデフォルトでfallbackスキルとdisambiguationスキルが備わっています。これらのスキルについては触れませんが、上手く設定することでより柔軟なチャットボットの作成を実現できます。

スキルの設定

スキルの編集画面でTriggersを選ぶとアクション起こすきっかけとなる条件を設定できます。画像ではgreetingインテントが認識された事を条件にしました。

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BuildタブのActionsを選択し、New Action Groupボタンを押すとアクションを設定するリストが表示されます。

『Choose Message Type』、『Connect External Service』、『Connect Fallback Channel』、『Update Conversation』に分類されるアクションの中から選択します。

  • Choose Message Type:チャットボットからメッセージや画像を送信します
  • Connect External Service:APIやWeb hookを用いた通信をします。後ほど、ご紹介するAPIとの連携もこのアクションを利用しています
  • Connect Fallback Channel:設定済みのフォールバックチャンネルに接続をします
  • Update Conversation:別スキルへの移動やメモリのリセットができます
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    【Choose Message Type】のButtonsを設定することで、画像のようなメッセージと選択肢のセットを実装できます。ユーザは、この選択肢をクリックすることで次の処理に進めます。

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    テスト

    設定が完了し、Trainボタンを押してから画面右下の黄色いアイコンからチャット画面を開きます。

    「こんにちは」という挨拶に対して選択肢付きの返信が返ってきていることがわかります。

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    エンティティの活用

    エンティティを活用することで、文章に特定の単語が含まれているかどうかをチェックし、処理を分岐させることが可能です。

    エンティティを活用するにはRequirementsタブから、スキルとエンティティの関連付けを行う必要があります。

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    ①の矢印ボタンを押し、②からエンティティが含まれていなかった場合の処理を追加できます。

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    メッセージタイプからButtonsを選択して、選択肢を表示しました。

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    この設定によって、データベース名のエンティティを受け取らなかった場合、起動先のデータベースを選択できるボタンが表示されるようになります。

    APIとの連携

    『Connect External Service』のCONSUME API SERVICEアクションを使うことによってAPIと接続し、外部のリソースにアクセスすることができます。

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    この機能を用いることで、データベースの制御APIとその連携を実現します。アクションの一連の流れは次のようになります。

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    今回はデータベースの制御命令を出していますが、APIと連携することで、チャットボットに様々な機能を追加することができます。

    分析する

    SAP Conversational AIも、Power Virtual Agentsと同様に分析機能を備えています。MonitorタブのUsage Metricsからスキルの利用回数の推移を確認できます。

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    Log Feedからはチャットの入力履歴を確認し、このデータを直接インテントの例文として取り込み学習させることで言語の認識力を高められます。

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    Training Analyticsは、インテントが4つ以上かつ各インテントに最低30個の例文を用意している場合にのみ使える機能です。

    これにより、チャットボットを自動的に分析して改善案を提示してくれます。図の分析では重複している例文を抽出している様子が確認できます。

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    Conversation Logsからはユーザとチャットボットの会話の履歴を確認できます。

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    分析機能を有効活用することによって、チャットボットの精度を向上させることができます。この他にも準備中の機能の項目もあり、今後の発展に期待できるシステムとなっています。

    終わりに

    SAP Conversational AIとHANA CloudのデータベースをAPI経由で接続して制御する取り組みについてご紹介しました。

    これで毎回行うウェブサイトへのアクセスや手動でのボタン押しの手間が減り、業務負荷が少し楽になるのではないかと思います。

    システム連携によって、チャットボットは問い合わせ以外の業務もこなせることを証明しました。普段の仕事で手間がかかると感じている業務がもしありましたら、チャットボットに任せてみたらいかがでしょうか。

    データベースの起動停止はもちろん、他にも多くのシステムがAPIなどの技術を通して連携できる形で提供されています。

    この特性を活かし、既存のシステムをチャットボットと組み合わせることで、新しい価値が生み出すことが期待できます。

    ここまで3つのブログを通じてチャットボットの作成とユースケースを紹介しました。最後に、Conversational AI(CAI)と以前取り組んだPower Virtual Agents(PVA)を独自の観点で比較してみました。これからチャットボットの利用を検討している方のお役に立てることができれば嬉しいです。

    観点 CAI PVA
    利用
    料金
    • トライアル環境のみ無料
    • Microsoft Teams上での利用に限り、Microsoft365のライセンスがあれば無料で利用可能(有料追加機能有)
    開発
    難易度
    • 公式のサポートポータル以外からの情報が少ない
    • 比較的情報が多い。公式のサポートポータルや掲示板も充実
    共同
    開発
    • 開発者に対するグループの割り当てや、メンバーごとに異なる権限の設定ができる
    • Teamsのチーム構成とロールをそのまま流用できる
    • 開発履歴や誰がどこを開発しているか等のステータスがリアルタイムで確認できる
    メンテナンス
    • ユーザの入力履歴を学習する機能があって、より適切なトリガーフレーズを設定することができる
    • 会話フロー全体が分かりやすく表示されるので、容易に編集できる
    利用
    分析
    • 使用されていないコンテンツを見つけ出すなど需要がある動作を提案して自動で処理できる
    • どの質問が最もよく尋ねられているか、ユーザ満足度などのパフォーマンスをリアルタイムに確認できる

    どちらもトライアルで基本的な動作を試すことは無料ですので、実際に使ってみて、今回紹介しきれなかった機能も含めて是非ご自身でご確認下さい。

    次回は『(仮)電子帳簿保存法とOpenText』についてご紹介いたします。お楽しみに!

    本ブログでは、引き続き皆様にお役立ちする情報を提供していきます。