RISE with SAPとは

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デジタルトランスフォーメーション(DX)が、業種や規模を問わずあらゆる企業において求められるようになったいま、SAP社は「Intelligent Enterprise」のコンセプトをもとに、プラットフォームからアプリケーションまでのレイヤにわたり、それを実現するための製品およびサービスを提供しています。

そして、そのなかで2021年1月に発表されたのが「RISE with SAP」です。今回は、その意味について考えてみましょう。

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ERPの位置づけ

SAPはERPの領域でグローバルスタンダードのポジションを確立し、日本においても多くの企業で導入されています。そのため、「SAPはERPの会社」という認識を持っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、現在ではERPをSAPソリューションの「コア」と位置づけ、プラットフォームからビジネスアプリケーションの多くのサービスや機能を提供し、それらをつなげる中心的な役割として、SAP S/4HANAを位置づけています。

デジタル時代の顧客ニーズに合わせ、そのソリューションの幅を広げているSAPの戦略を具体化するために誕生したのがRISE with SAPというサービスです。従来の個別製品ごとのソフトウェアライセンス販売モデルから脱却し、DXを実現するための基盤を整えるための「道すじ」を含めたソリューションセットという見方もできるでしょう。

サービスとしての「RISE with SAP」

では、具体的にどのようなサービスが提供されるのでしょうか。

まずコアとなるERPは「SAP S/4HANA Cloud」です。これには2つのエディションが用意されますが、それについては後述します。

RISE with SAPの特徴の一つは、既存のSAP ERPからSAP S/4HANA Cloudへの移行に向けた、ステップに応じたサービスも提供されることです。まず、現状把握のためのビジネスプロセスインテリジェンスの機能が提供されます。「Discovery Report」の機能により、既存のERPのデータを分析し、業務プロセスの傾向を把握することで課題を発見し、SAP S/4HANAによる業務効率化を推進します。

次に、既存のSAP ERPからSAP S/4HANAへの移行のシステム的なアセスメントを行います。これには、基礎的な情報を収集する「SAP Readiness Check」と、アドオンに修正が必要かを判定する「Custom Code Analyzer」が含まれます。

RISE with SAPのもう一つの特徴は、拡張や連携までカバーすることです。上記の準備のプロセスを経て、実際のコアとなるSAP S/4HANA Cloudが提供されますが、さらに様々なパートナー企業と連携するためのビジネスネットワークと、企業内の他の業務システムと接続するための基盤となる「Business Technology Platform(BTP)」が提供されます。

このように、RISE with SAPは、SAP S/4HANA Cloudを中核にし、従来のSAP ERPからの移行を支援するツールや、様々な連携を実現するためのプラットフォームまで一つのサービスとして提供することで、Intelligent Enterpriseの実現をガイドする役割を担っているのです。

2つのSAP S/4HANA Cloud

コアとして位置づけられる、SAP S/4HANA Cloudですが、RISE with SAPでは2つのエディションが提供されます。

RISE with SAP S/4HANA Cloud, public edition (public edition)

一つ目のエディションは「public edition」です。

これは一般的なSaaSにより近い提供形態で、ERPのコア領域に特化した機能を提供します。バージョンアップも自動で行われ、常に最新の機能を利用することができます。設定変更などによるカスタマイズは可能ですが、追加機能の開発などは対応しないため、「Fit To Standard」で最新の標準機能を使用するというコンセプトに合うサービスです。

RISE with SAP S/4HANA Cloud, private edition(private edition)

もうひとつのエディションが「private edition」です。

これは従来のオンプレミス型のSAP S/4HANAに近い提供形態で、ERPのフル機能を提供するとともに、アドオンなどの追加機能の開発にも対応します。インフラも、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)などを選択することができ、従来のERPのフル機能と柔軟性を兼ね備えたサービスです。ERP導入を効率化するために用意されていたテンプレートも適用可能です。

このように、2つのエディションが用意されることにより、目的や要件に応じた適切なサービスを選択することができるとともに、いずれもクラウドサービスとして提供されることで運用負荷の軽減などのメリットも享受することが可能です。

Business Technology Platform(BTP)

RISE with SAPを構成するもうひとつの要素がSAP Business Technology Platform(BTP)です。BTPはSAPアプリケーションを拡張したり、それを利用したアプリケーションを開発するための基盤です。

APIによる拡張アプリケーションやシステム間連携の実現、機械学習やIoTなど最新技術を活用するためのサービスなども含まれ、蓄積されたデータの活用や、業務プロセスをつなぐことにより、ビジネスのデジタル化を推進するためのプラットフォームとして位置づけられています。

コアとなるSAP S/4HANAと、それを拡張、活用するための基盤としてのBTPを提供することにより、RISE with SAPはIntelligent Enterpriseを実現するためのステップとして必要となる機能を集約し、ワンストップで提供するサービスとなります。

まとめ

以上のように、RISE with SAPの概要や位置づけについて簡単にまとめましたが、ここではカバーできなかった機能なども多くあります。従来よりも幅広い範囲を支援するソフトウェアサービスの提供形態や概念ですので、まずはその考え方や位置づけをつかんだうえで詳細な検討に進んでいただければと思います。

NTTデータGSLでは、SAP S/4HANAの豊富な実績をもとに蓄積された知見をもとに、SAP S/4HANA向けに提供しているテンプレート「GBMT®」のRISE with SAP対応を進めるとともに、ビジネステクノロジープラットフォーム事業部(BTP事業部)を発足し、SAPソリューションをフルに活用したお客様のDXを支援いたします。

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