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コンポーザブルERPとは?
コンポーザブルERPのメリットや導入の進め方について

ERPは昔から多くの企業で活用されており、ビジネスを推進していく上で必要不可欠な仕組みです。

以前はオンプレミスでのシステム構築が主流でしたが、現在はクラウド化が進んでおり、より多くの企業でERPが活用されています。なかでも注目されているのが「コンポーザブルERP」という新しいタイプのERPです。

本記事では、コンポーザブルERPの特徴やメリットについて解説します。コンポーザブルERPは、現代のビジネスにマッチする仕組みであり、今後さらに採用する企業が増えると予想されます。

ぜひ、ご一読ください。

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INDEX

コンポーザブルERPとは

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ERPシステムは需要が高く、これまでも多種多様な種類の製品が登場しました。

時代のニーズに合わせた開発が行われ続けており、今後はコンポーザブルERPの需要が高まっていくと予想されます。コンポーザブルERPは多様なニーズに対応可能な、現代のビジネスに適したERPです。

そもそもERPとは?

ERP とは「Enterprise Resources Planning」の略で、企業のヒト、モノ、カネ、情報などの資源を管理し、有効活用するための仕組みです。

経営判断の迅速化および最適化、業務プロセスの効率化、顧客への付加価値の向上などの効果が期待できます。

ERPシステムは会計、販売、調達、在庫、生産、品質、人事など幅広い業務領域をカバーでき、業界を問わず利用できるため、多くの企業で導入されています。

市場規模は 2026 年までに 1,123 億ドルに達すると予測されており*、世界中で需要の高いシステムと言えるでしょう。

*出典:Apps Run The World、「Top 10 ERP Software Vendors, Market Size and Market Forecast 2021-2026」こちら

コンポーザブルERPとは?

コンポーザブルERPとは、細かい機能をプラットフォームに追加し、システムを構築していく形のERPです。柔軟性に優れ、業務上の細かい要件に対してもソリューションを作り込むことができます。

コンポーザブルERPは、長年ERPのコンセプトを考案してきたガートナー社が2020年に提案しました。

ビジネス環境の変化に対応しやすいERPとして注目されています。業務プロセスが大規模かつ複雑であっても、詳細な部分までカスタマイズできるため、従来のERPよりも多くの要件を達成することが可能です。

コンポーザブルERPが注目されている背景

ERPシステムのアーキテクチャは、企業の需要に合わせて改良され続けています。

もともとはモノシリックなERPが主流でした。モノシリックには「一枚岩」という意味があり、1つのシステムの中にさまざまな業務機能が実装されていました。

しかし、新しい要件が出てきた際に機能の新規開発や改修が困難であるほか、バージョンアップやメンテナンスにコストがかかりやすい点もデメリットです。そこで、会計、生産、在庫などの業務ごとにシステムを構築し、連携していくポストモダンERPというアーキテクチャが考案されました。

さらに近年では、より細かい単位で機能の構築が可能なコンポーザブルERPも考案され、多くの企業が導入を進めています。

参考記事

コンポーザブルERPの特徴とメリットとは

コンポーザブルERPには、従来のERPにはない特徴があります。現代社会でビジネスを推進していく上で大きな長所となるため、導入を検討する企業が増えています。

柔軟性が高い

コンポーザブルERPは、業務に合わせてソリューションを組み立てていくことが可能です。プラットフォーム上に異なるベンダーのシステムやサービスを組み合わせて構築できます。従来のERPと比べると、特殊な要件にも対応しやすい点が特徴です。

企業がERPシステムに求める機能は、会社情報の見える化、業務効率化、法制度対応、内部統制強化などさまざまです。一般的な機能であれば従来のERP製品にも備わっていますが、特殊な要件がある場合は、設定などでカスタマイズして使うことになります。

しかしカスタマイズでは、理想のプロセスを構築できなかったり、一部の業務だけ手動で対応が必要になったりするなど、不都合が生じやすくなります。

コンポーザブルERPでは、1つのERP製品ではなく無数のサードパーティ製品を組み合わせて使うため、特殊な要件に対しても柔軟に対応可能です。

保守性が高い

コンポーザブルERPは、アーキテクチャや実装の仕方を工夫することで、保守性の高いERPシステムを構築できます。

コンポーネント間のAPI連携が設定のみでできるため、新しいソリューションをコンポーザブルERPに導入する場合も、既存のERPソリューションと容易に連携が可能です。また、一度実装した機能の修正や削除なども簡単に行えます。トライアル&エラーがしやすいため、ビジネス要件の急な変化にも迅速に対応できるでしょう。

さらに、システムのスペックも状況に合わせて変更が可能です。

コスト面、セキュリティ面でも優れている

コンポーザブルERPは、基本的にコーディングでの機能開発ではなく、提供されているソリューションを組み合わせて構築していくものです。

従来のERPシステム開発に比べて、SEやプログラマーの人件費を抑えられることから、開発コスト削減につながります。

また、コンポーザブルERPのプラットフォームには、アクセス管理、暗号化、権限管理などあらゆるセキュリティ関連の機能が実装されています。

コンポーザブルERPで実現できること

ビジネスを推進する上で達成すべき要件は、どんな企業でも数多く存在します。

コンポーザブルERPは、より多くの要件に素早く対応するために効果的な仕組みです。また、企業規模に関係なく導入できる点も長所と言えます。

ERPの長所をより活かせる

コンポーザブルERPを利用すれば、従来のERPシステムよりも、多くのビジネス要件にスピーディに対応できます。

従来のERP製品は、業務のベストプラクティスを構築するためのものが一般的でした。

コンポーザブルERPは、特殊な要件に対しても外部のソリューションを導入する形で対応できるため、ERPシステムでサポートする業務領域や要件を広げていくことが可能です。

たとえば、ダッシュボード関連のソリューションを利用して多くの社内情報を可視化する、部門間の業務システムを連携させて業務効率化を図る、細かい業務まで自動化して人件費を削減する、といった施策を実行できます。また、機能追加や改善をスピーディに行える点も魅力です。

急な社会のニーズ変化や新規事業開拓に伴い、新しい業務プロセスの構築が必要になった場合でも、迅速に対応できます。

あらゆる企業に対して有効

一昔前までERPは大企業向けのシステムというイメージがありましたが、経営判断の迅速化や最適化、業務効率化などの要件は中堅・中小企業やスタートアップ企業にとっても重要です。むしろ小規模の企業こそ資金やリソースが少ないため、IT技術の有効活用によるコスト削減や業務効率化が求められます。

コンポーザブルERPは、スタートアップ企業などの小規模な会社にも有効な手段です。

SaaSなどのサービスを組み合わせて利用するシステムであるため、スモールスタートで構築できるほか、予算に合わせて要件に優先順位を付け実装していけます。

また、ERPのなかには特定の業界に限定した製品もありますが、コンポーザブルERPはその企業に必要なソリューションだけを導入するため、業界・企業を問わず活用可能です。

参考記事

コンポーザブルERPが求められる背景

コンポーザブルERPの需要は、今後ますます高まっていくと予想されています。

その理由に、ビジネス要件の達成や課題解決の手段としてメリットが大きいことが挙げられます。

現代のビジネス環境の速い変化に対応できる

企業が現代社会で市場価値を高めていくには、環境の変化に対して迅速に策を講じることが重要です。

近年では、社会的にDXが強く推進されており、企業は顧客の趣味嗜好に合わせて自社商品やサービスを提供できます。

たとえば、多くのECサイトでは顧客ごとにおすすめの商品を表示できるレコメンド機能が実装されているため、顧客は目当ての商品を探しやすく、企業は売上アップが期待できます。こうした仕組みは、さまざまな要件にも対応可能です。顧客の購入履歴から関連商品を推薦したり、セグメンテーションの結果から特定の顧客に対して商品をプロモーションしたりする方法が考えられます。

DXによる環境の変化はほかにも数多くあり、SaaSのサブスクリプションといった新しいビジネスモデルの出現もその一例です。

企業が現代に求められるビジネスを展開していくためには、さまざま要件に柔軟に対応できる仕組みの構築が求められます。

社内外を問わずあらゆるビジネス課題に対応できる

どんな企業でも、ビジネス上の課題は常に発生します。>近年では、新型コロナウイルス感染拡大により、多くの企業は従業員がリモートワークできる環境を早急に整備しなくてはならなくなりました。

そこで必要となったのが、リモート環境から社内の情報リソースへ、安全にアクセスできる環境です。また社外に対しても、現代のニーズに適したより良いサービスの構築が必要です。

たとえば、クライアントが希望する時間に必要な商品を届けられる仕組みづくりなどが挙げられます。こうした要件を実現するには、在庫の適正化などさまざまな課題を解決していかなければなりません。過剰在庫が発生すれば企業のキャッシュフローが悪化し、在庫不足となれば売上の機会損失につながります。

コンポーザブルERPは次のトレンドと予想されている

ガートナー社は「少なくともSAP社やOracle社などが提供するERPスイートを使っている企業の半分以上は、2024年までにその製品の継続よりも複数のベンダーのサービスを組み合わせて構築する形のERPを採用する」という考えを示しています。

複数のサービスを組み合わせて使うことで、各企業が持つ特有の要件を実現しやすくなることから、今後コンポーザブルERPを利用する企業は増加するでしょう。

SAP社、Oracle社、Microsoft社が提供するERPシステムは多くの業務を網羅しており実績もあります。ただし、各社が提供するERP製品では対応が難しいビジネス要件があることも事実です。業務での対応やフルスクラッチのシステム構築で対応することも可能ですが、多くのコストがかかってしまいます。

コンポーザブルERPを導入する上で予想される課題

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コンポーザブルERPはメリットが多く、従来のERPシステムで課題となっていた部分の多くをカバーできます。

一方、注意すべき点もいくつかあるため、導入を進める前にきちんと把握しておくことが重要です。

組織内で意見が割れやすい

コンポーザブルERPは細かい要件に対応可能であるため、従来よりもさらに多くの要件が挙げられると予想されます。しかし、コンポーザブルERPであってもすべての要件を一度に実現することは容易ではありません。

ノーコード/ローコードで機能を導入する場合でも、設定作業や動作確認のテストは必要となるため、ある程度の時間はかかります。

従来のERPシステムと同様、定義された要件に対して優先順位を付け、順番に構築を進めていくことが一般的です。

また、優先順位付けの際には社内関係者で利害の不一致が起こりやすいため、目的や方針を明確にし、関係者間で合意した上でシステム構築を進める必要があります。

システムの複雑性が増す

コンポーザブルERPは、さまざまなベンダーが提供するソリューションを組み合わせて使います。そのため、システムが想像以上に複雑化してしまい、運用・保守に支障が出るおそれがあります。

そこで、システムのブラックボックス化を避けるための工夫が必要です。

具体的には、まずドキュメント管理体制の整備が挙げられます。運用・保守できないほど複雑化してしまったシステムはドキュメントが残っておらず、保守開発が属人化しているケースがほとんどです。ドキュメントも成果物として定義することで、保守性を高められるでしょう。

また、上流工程でのテスト計画策定や、自動テスト導入によるコストがかからない環境の構築なども効果的です。プロジェクトに合わせた有効な手段を検討してください。

セキュリティホールが生まれやすくなる

コンポーザブルERPは外部システムのサービスも含め、数多くのソリューションを連携させていくため、特に連携部分にセキュリティ上の脆弱性が発生する懸念があります。

自社のセキュリティポリシーを明確にし、セキュリティルールを遵守できないソリューションが導入されないようチェックする仕組みを用意しておくことが推奨されます。

コンポーザブルERPの導入プロセス

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コンポーザブルERPは、従来のERPとは導入プロセスが異なる部分もあります。仕組みの長所を最大限に活かせるよう、工夫して導入や運用・保守作業を進めていくことがポイントです。

① 目的の明確化

従来のERP導入と同様に、コンポーザブルERPでも目的の明確化は重要です。

後続工程では、目的に沿ってソリューションの選定や優先順位付けを行います。

ビジネス要件を達成していくには何が必要か、既存ERPシステムの問題点は何だったのか、将来的にどのようなITシステムを構築していくべきか、などを具体的に検討していきます。

② 仕組み、組織の整理

コンポーザブルERPを採用した場合、プラットフォームを選定する必要があります。

自社のニーズを正確に理解し、適切なものを選定しましょう。無数のソフトウェアをプラットフォーム上に導入することになるため、スケーラビリティが高いかどうかも選定のポイントです。パフォーマンスやセキュリティなど非機能要件部分に関しても、問題がないかを確認しておく必要があります。また、適切に開発や運用を行っていける組織構築も欠かせません。

コンポーザブルERPは、従来よりも少ないコーディングで開発が可能ですが、細かい要件を実現していく上で開発作業が必要になる場合もあります。状況に応じてすぐに開発エンジニアを確保できる体制をつくっておくことが推奨されます。

③ 設計

プラットフォームの設計は、柔軟に対応できる工夫をすることで、コンポーザブルERPの長所を最大限に活かせます。社会の変化に合わせて迅速に機能追加や改修ができるようにインフラを設計します。

プラットフォーム上でどのようにデータを管理するか、どのようなデータ構造を採用するか、各ソリューションをどのように連携させるか、などを目的に合わせて設計しましょう。

導入されるソリューションは無数に出てくることが予想されるため、システムが複雑化しすぎて運用・保守が難しくならないよう、設計工程で対策しておくことが重要です。

④ 実装(連携部分の実装、ソリューションの導入)

コンポーザブルERPではコーディングを行うのではなく、ソリューションを導入してシステムを実装していきます。

サードパーティのソリューションでは実現できない自社特有の要件がある場合は、アドオン開発としてプログラムを開発することもありますが、基本的にはサービスを選定して設定する形となります。そのため、従来のソフトウェア開発よりもはるかに少ないコーディングでシステムを構築できます。

ただし、外部のシステムと連携が必要な場合は実装が必要です。周辺システムに合わせてインターフェース開発を行うことになります。

⑤ 運用保守

導入後は、ソリューションが期待通りの効果を発揮しているかを確認しましょう。想定通りの結果が得られていない部分は、原因の追究と改善を行っていくことが重要です。

ときには、一度導入したソリューションを除外し、別のものと入れ替える作業が必要となります。コンポーザブルERPならこのような対応が容易に行えるため、頻繁にソリューション入れ替えの判断が発生すると予想されます。

まとめ

ERPの仕組みは需要が高く、今後も市場は伸びていくことが予想されます。なかでもコンポーザブルERPは現代のビジネスに適しており、スタートアップから大企業まであらゆる規模の企業に有効な仕組みです。

今後、コンポーザブルERP内で利用するソリューションの開発も活発になっていくでしょう。

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