経営管理の高度化とは?高度化が求められる背景とその実現手法を解説
新型コロナウイルス感染症などによりビジネスの不確実性が高まる中、リアルタイムのデータから経営状況の変化や異変を察知し、データから得られた知見を活用して経営資源を効率的に配分し、そして高度な経営管理が求められています。
今回は、経営管理の高度化が求められる背景とそれを実現する手段について解説します。
経営管理の高度化とは
経営管理とは、企業としての目標を達成するために、事業や業務を管理して、適切な経営判断を下せるようにすることを目的として行うものです。フランスの経営学者、「管理原則の父」と呼ばれたアンリ・ファヨールは、経営管理には「計画」「組織」「指揮」「調整」「統制」の5つの要素があると定義しています。
将来を予測して計画を立て、計画達成に向けて企業の経営資源を効率的に配分し、あるいは組み合わせることが経営管理であるといえるでしょう。IT・通信技術の進歩やグローバル化など、ビジネスを取り巻く環境は刻々と変化しています。また、M&Aや持株会社化によるグループ経営の推進や、積極的な海外展開により日本企業の経営が複雑化する中、無駄な作業を減らし、効率的な経営を行うために、より高度な経営管理が求められるようになっています。
特に、新型コロナウイルス感染症によるビジネスの不確実性がさらに高まっている現在、リアルタイムで経営状況を把握し、データ変化や異変をいち早く察知する仕組みの重要性はますます高まっています。
経営管理の課題と高度化の必要性
新型コロナウイルス感染症の流行が長期化し、経済や社会の先行きが不透明な状況が続く中でも、経営者は状況に応じて迅速に次の一手を変えながら、結果を出していくことが求められています。そのためには、必要なときに、必要な情報が、分かりやすく、目的に即したフォーマットで手に入ることが大切です。企業を取り巻く環境が目まぐるしく変わる今、四半期に一度のデータでは、変化に対応するには不十分です。
また、経営層から資料の提出を求められ、時間をかけてデータを分析、加工を行う資料を作成しているようでは、ビジネスの変化スピードには対応できないでしょう。さらに、本社と子会社、グループ会社のシステム連携がされていなければ、バラバラになっているデータを取りまとめるだけでも一苦労です。このような資料の作成や各部門との調整にリソースを費やしてしまえば、経営管理が本来の目的を発揮することは難しくなります。
現在の企業経営に不確実性をもたらすのは、新型コロナウイルスだけではありません。地政学上のリスクや気候変動など、予測が困難で、ビジネスに大きな影響を与えうる要因は様々です。このような不確実性の時代においては、経験や勘に頼った経営管理から脱却し、社内外のデータをリアルタイムに取り込み、AIなどの最新技術も活用することで、データに基づく予測や仮説から迅速にPDCAを回し、より高度な経営管理を行っていくことが重要です。
EPMで経営管理の高度化を実現
このような高度な経営管理の実現には、EPM(Enterprise Performance Management)が有効です。EPMとは、経営情報を 可視化 し、分析機能を提供することで、問題発見および解決を支援する管理手法のことで、日本語では、「企業パフォーマンス管理」と呼ばれます。
SAP社のEPMソリューション「SAP Business Planning and Consolidation」では、業績管理における「予算」、「計画」、「フォーキャスト(着地予想)」の編成・策定作業を一元管理できます。多次元データモデルでデータを保持しているため、地域別や製品別などの 様々 な切り口、また、期間やデータ種別を自由に切り替えてレポートを作成し、シミュレーションを行うことが可能です。
他にも、経営管理と統合事業計画およびシミュレーションをワンストップで実現するプラットフォームとして、スイスのBoard社が提供するソリューション「Board」があります。「Board」は、過去の実績データを 可視化 し、そこから課題・傾向を抽出することで、未来の営業計画・財務計画を立案し、精度の高いフォーキャストを実現します。
また、経営環境の変化に合わせ、プログラミングが不要で財務・非財務KPIを変更できるため、企業の経営方針に合わせた報告を柔軟かつ迅速に行うことが可能です。
ERPとEPMの連携でさらなる高度化を
EPMソリューションは単独で利用することも可能ですが、ERPシステムと一緒に活用することで、 更に 力を発揮します。シミュレーションやフォーキャストといった、EPMソリューションの機能は、リアルタイムかつ正確なデータがなければ絵に描いた餅です。
生産、販売、在庫、会計、人事など企業の基幹情報を一元管理するERPシステムと連携することで、より効率的かつ精度の高い分析が可能です。特に、複数の拠点を横断しての情報の集計や予実管理、経営シミュレーションなどを行う企業にとっては、連携の効果は高いでしょう。
不確実性の時代においては、ERPシステムに蓄積された情報に加えて、ERPシステム以外の企業システム内にある情報、さらには信用情報などの企業の外にあるデータも取り込み、 AI による機械学習なども活用した経営管理を行うことが重要になります。
EMPとERPシステムを連携させ、 更に は、「SAP Analytics Cloud」のようなビジネスインテリジェンス(BI)ソリューションを活用し、データに基づく高度な経営管理を実現しましょう。
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