SAPとは
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SAPは、「経営・業務の効率化」や「経営の意思決定の迅速化」を実現することを目的に、多くの企業で導入されているITソリューションです。このITソリューションにより、企業の経営資源である「人・モノ・金」の情報を一元で管理ができ、そして経営の可視化を実現できます。
SAPユーザー企業であれば、おもにERP製品を提供しているベンダーのひとつであると理解していることが多いことでしょう。
今回は、あらためてSAPについて整理し、ご紹介したいと思います。

INDEX
SAPとは
SAP(エスエーピー)とは、ドイツに本社を置くソフトウェアの大手ベンダーです。一般的には提供しているソフトウェアを指していることもありますが、正確にはSAPは会社名であり、製品名ではありません。
1972年にERPパッケージ(統合業務パッケージ)ソフトのベンダーとして、ドイツのワルドルフで設立されました。
世界で最初のERPとなったSAP社の「R/1」は、1973年にリリースされました。リリースされて以降、40年以上に渡り、SAP社のERPソリューションは、R/1からR/2。R/2からR/3に進化を続け、企業を支えてきました。そして、SAP社が提供する最新のERPがSAP S/4HANAというソリューションです。(なお「R」は、リアルタイムという意味です)
ERPとは
ERPとは、「英:Enterprise Resource Planning」の頭文字をとった略語で、日本語では「企業資源計画」と訳されます。もうすこし具体的にいうと、「企業の全部門共通システム」と考えると分かりやすいかと思います。
ではこのERPを活用することで、どんなメリットがあるのでしょうか。導入し日々活用することで、大きく2つの利点があると考えています。
では、なぜSAP社のERPがここまで普及したのか。その理由について考えてみましょう。
普及した背景とその理由
1980年代まで日本の企業情報システムの中心は、業務に最適化されたシステムでした。しかし、1990年代前半に欧米で起こったBPR(Business Process Reengineering:業務プロセス改革)ブームがきっかけとなり、日本でも多くの企業がERPパッケージを本格的に採用しました。
同時に、1990年代はメインフレームからオープンシステムへの移行が一気に進み、「2000年問題」(2000年になるとコンピュータが誤作動する予想されたこと。別名、Y2K問題)も重なって企業情報システムの刷新ニーズが高まった時期でした。
そこでSAP社の「SAP R/3」をはじめ、米PeopleSoftの「PeopleSoft」、米J.D.Edwardsの「OneWorld」、米Oracleの「Oracle Applications」、オランダBaanの「BaanERP」といった各種ERPパッケージ商品が、このような企業のシステムに対する刷新のニーズを的確にとらえ、1990年代には世界中で"第一次ERPブーム"と呼べるようなERPパッケージの導入ラッシュが起こりました。そのブームで、圧倒的に世界市場シェアを有したのがSAP社です。
全世界に広く普及したERPパッケージ「SAP R/3」
SAP社が提供するERP「SAP R/3」が世界に広く普及した理由は大きく3つあると考えています。
普及したその大きな3つの理由から、今回は2つについて詳しくご紹介します。
自社の業務に合ったシステムを構築
自社の業務に合わせるため、ソフトウェアに追加で独自に開発・導入でききます。その独自の開発を、SAP社独自のプログラミング言語であるABAP(Advanced Business Application Programming)で行います。
これにより、各国、業界による独特の商慣行に対応でき、各企業や部門にとって必要な機能を補うことが可能です。
業務分野別にまとめられた機能群(モジュール)
SAP社のERPパッケージ(SAP R/3)は、業務分野別にまとめられた機能群で構成されていて、その機能群のことをモジュールと呼びます。数あるSAP ERPモジュールの中で、良く利用されるものとして、下記があります。
なおSAP R/3は大型汎用機(メインフレーム)向けに開発・販売されていた「R/2」を元に開発されました。2015年にはR/3の後継となる第4世代の製品として「SAP Business Suite 4 HANA」(SAP S/4HANA)が発表されました。そして、SAP R/3を起点にしたSAP ERPシリーズは次世代への移行が大きなトピックとなっています。
SAP社が提供する様々なERP
SAP社は、さまざまな企業規模をターゲットにERPシステムの提供を行っています。
大企業向け
中堅・中小企業向け
小規模企業向け
SAP社の製品ラインナップは幅広い業界と企業規模に応じたソリューションを展開しています。
例えば主力のオンプレミスシステム向けのSAP ERPに加え、「SAP S/4HANA」、「SAP S/4HANA Cloud」。中堅中小企業向けには、「SAP Business ByDesign」、「SAP Business One」などを提供しています。
中堅・中小企業向けにも展開
SAP社は、中堅・中小企業および大企業の子会社、海外拠点などでの利用に適したERPも提供しています。そのソリューションが「SAP Business ByDesign」と「SAP Business One」です。
SAP Business ByDesign
このSAP社の製品は、2007年に発表されて以来、日本を含む世界117カ国で提供され、2018年時点で約3,700社の企業に導入されています。
36の業務プロセス、具体的には会計管理、人事管理、購買管理、生産管理、販売管理などに対応しています。
「SAP Business ByDesign」の最大の特徴はSaaS型のERPサービスで、従来のオンプレミス型のERPパッケージと比較して大きなメリットがあります。それは、「導入までに要する期間が短い」、「初期導入コストを抑えることが可能」、「費用は初期導入費用のほか、ユーザー数に応じたユーザーライセンス体系」です。
SAP Business One
SAP Business Oneは、中堅・中小企業におけるビジネス活動の主要業務を、ワンシステムで網羅的に管理できるERPパッケージです。
カスタマイズを必要としない豊富な標準機能により、多くの国の言語・税制・商習慣に標準対応しています。そして、短期間かつ低コストでシステム導入を可能とするとともに、中堅・中小企業の収益性向上と成長を強力に支援しています。
ERPだけではない、他のソリューション
「SAPソリューションと言えばERP」というイメージが強い方も多いのですが、SAP社ではERPビジネスにも増して、業務アプリケーションなどのクラウド製品関連のビジネスが現在成長しつつあります。では、ERP以外にはどのようなソリューションがあるか見てみましょう。
SAP Customer Experience :旧 SAP C/4HANA
CRMスイートサービスで、データクラウドの「SAP Customer Data Cloud」を土台に、マーケティングの「SAP Marketing Cloud」、コマースの「SAP Commerce Cloud」、セールスの「SAP Sales Cloud」、サービスの「SAP Service Cloud」と5つのクラウドサービスから構成されています。
SAP Ariba
調達管理サービスの提供。企業の間接材購買の業務をエンド・トゥ・エンドでサポートするクラウドサービスです。
SAP Concur
旅費経費管理サービスを提供します。全世界44,000社以上(国内790社以上)、全世界利用ユーザー数5,610万人以上に導入されています。スマートフォンのカメラで領収書を簡単撮影、経費精算・交通費精算を社外のどこからでも実施可能です。
SAP SuccessFactors
人材の登用・育成・管理サービスを提供する、クラウドベースのグローバル HCM (Human Capital Management)システムです。全世界で4,000社以上、利用ユーザー数2,000万人以上に利用されています。
SAP Fieldglass
企業と人財をつなぐ"人財シェアリング"を実現するプラットフォームです。世界180か国で650社以上の企業が導入しいています。
最後に
このほかにも、企業で利用する様々なアプリケーションを提供しています。ERPは、これらのアプリケーションから発生するデジタルデータを保管し、活用する基盤である「デジタルコア」として位置づけられています。
また、このようなSaaS型アプリケーションだけでなく、SAP Cloud Platformでは、IaaSやPaaSの基盤も提供しています。たとえば、デジタルコアのデータを活用するための機械学習プラットフォームや、IoTと連携するための基盤など、「Intelligent Enterprise(インテリジェントエンタープライズ)」のコンセプトを実現するための一連の製品を提供しています。
デジタルデータの活用を見据えて、企業のデジタル化を実現しませんか。
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