SAPのソリューション

デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進などの経営課題の解決に向けて、ERPソリューション、クラウドアプリケーションや開発・運用基盤を組み合わせて、グローバルなエコシステムを構築のためのソリューションです。

お客様の課題

業種や規模によって企業の課題は経営課題、業務課題、システム課題など多様です。さらにそれぞれ課題は単一分野の課題だけではなく、相互に関連することで複雑になっています。

GSLが提供するサービス

様々な業種に関する技術・ノウハウに裏付けられたソリューション力をベースにした豊富な SAP Business-all-in-one テンプレートワンストップサービス体制で、導入から保守までをサポートします。

お役立ち情報

NTTデータGSLは日本企業のDX推進やグローバルビジネス展開の支援を提供しています。
GSL Tech Blogでは、最新技術に関するノウハウやナレッジをまとめています。
GSLコラムでは、製品情報だけではなく、トレンドや基本的な用語の解説などをまとめています。
関連資料ダウンロードでは、お客様の課題やソリューションをまとめた資料を用意しています。
GSLニュースは、SAPソリューションをはじめ周辺系システムとの連携を通じたDX推進など、最新の情報をメールマガジンでお届けします。
GSL University Journalは、企業内大学である「GSL University」における各研究室の教授等によるインサイトや成果報告、社員からの寄稿をまとめております。
ぜひご覧いただき、お役立てください。

企業情報

日系企業のグローバル展開に伴う、システムのグローバル化需要に応えるために、NTTデータグループにおけるSAP事業の中核会社を設立し、国内のグループ会社に分散しているSAPソリューション、業務ノウハウの一体化を図り、戦略的な事業経営を目指します。

SAP ERPのモジュールとは?
代表的なモジュールの役割とその相関関係をご紹介

SAP社のERPパッケージは、モジュールと呼ばれる業務分野別にまとめられた機能群で構成されています。

今回のコラムでは、SAP ERPの代表的なモジュールを例に、モジュールの役割や相互の関係について説明します。また、次世代のERP「SAP S/4HANA」で提供される機能についても紹介します。

ぜひ、ご一読ください。

what-is-sap-module

INDEX

SAPモジュールとは

SAP社のERPパッケージは、業務分野別にまとめられた機能群で構成されており、その機能群を「モジュール」と呼びます。

SAP ERPのモジュールは、財務会計管理であればFI(Financial Accounting)、在庫購買管理はMM(Material Management)、販売管理はSD(Sales and Distribution)というように、対応する業務の英語の頭文字2文字で表記されています。ちなみに、原則としてERPパッケージは、業務分野に対応した機能群で構成されていることがほとんどです。

SAP ERPには20以上のモジュールがあり、ユーザーは自社の業務分野や業務要件に合ったモジュールを組み合わせて利用します。

例えば、FI(財務会計:Financial Accounting)やCO(管理会計:Controlling)などの会計・原価管理にかかわるモジュールは、業種を問わず頻繁に導入されます。また、製造業であれば生産管理モジュール(PP: Production Planning and Control)がよく採用されています。

一方、モノの生産を行わないサービス業では生産管理モジュールが必要とされる機会は少なく、サービス管理(CS:Customer Service)や、在庫購買管理モジュールのカスタマイズなどが選択される傾向にあります。

SAP ERPの導入にはモジュールごとの専門知識が必須

SAP ERPのモジュールには、それぞれにライセンス(認定資格)が設けられています。ライセンスを取得する過程では、対応するモジュールの標準機能や主要ロジックへの理解、基本的なカスタマイズ方法などを身に着けていきます。ここで得た知識は、SAP ERPの各モジュールを導入・運用する上で必須のものばかりです。

一般的にSAP ERPの導入は、複数のモジュールを組み合わせて行われます。そのため、それぞれのモジュールで実現できることや他のモジュールとの関係性、データ連携の流れなどを精査しながら進めていかなくてはなりません。したがって、各モジュールの専門知識を統合してERPを導入していくことになります。

さらに、アドオン開発を行う場合にもモジュールごとの専門知識が必要です。

SAP ERPのアドオン開発は多くの場合、標準機能と何らかの関連性を持ちます。例えばアドオン開発で独自の発注画面を作成する場合、アドオンプログラムの内部で標準機能のトランザクションやBAPI(SAP ERPに用意されている汎用プログラム)を呼び出すことが大半です。

また、標準トランザクションやBAPIがデータを読み書きするための標準テーブル(SAP ERP内に存在する疑似的なデータベース)も把握しておく必要があります。

このように、アドオン開発においても、モジュールごとの標準機能への理解が必要です。

参考記事

SAP ERPの代表的なモジュールの概要とその役割

数あるSAP ERPモジュールの中で、良く利用されるものとして、「FI」(財務会計)、「CO」(管理会計)、「SD」(販売管理)、「MM」(在庫購買管理)、「PP」(生産管理)等があります。

近年はこれら主要モジュールに加えて、人事管理(HR)や生産計画/詳細計画(PPDS)なども重要なモジュールとして認識されるようになりました。

そこで今回は、それぞれのモジュールについての概要と役割について説明します。

財務会計(FI)

財務会計(FI)は、財務諸表など社外向けレポート作成のためのモジュールです。総勘定元帳や売掛金、買掛金などに対応したサブモジュールで構成されます。

企業が日々行う取引を記録するという役割から、販売管理や在庫購買管理、生産管理といった他のモジュールとリアルタイムでデータが連携されているという点が最大の特徴です。

FIモジュール以外で実行された処理は、FIモジュール内で「会計伝票(FI document)」として転記・記録されます。

こうした仕訳情報をまとめることで、損益計算書や貸借対照表、財務諸表を作成するのがFIモジュールの役割です。

会計システムには、貸借一致の原則に基づく計上処理や、不正な取引を防止するための権限分割などが求められますが、FIモジュールはこのような要件も満たしています。

原価管理(CO)

原価管理(CO)モジュールは、社内向けに原価や費用・収益を分析して報告する管理会計を目的としたモジュールです。

主なサブモジュールには間接費管理、製品原価管理、収益性分析があり、間接費や直接費を計算し、そこから事業や製品別の収益性を分析することができます。

また、間接費を集計するだけでなく、集計した間接費を関連する製造部門に予算として配賦するのもCOモジュールの役割です。

販売管理(SD)

販売管理(SD)モジュールは、見積もり・受注・出荷のプロセスや販売管理に関する業務をサポートするためのモジュールです。

取引先に見積もりを提出し、発注を受け取り、倉庫から商品を発送し、請求書を送り、支払いを受け取るまでの一連の動きを一括で管理することで、バックオフィス業務の大幅な改善を実現します。外国への発送にも対応するサブモジュールや、それぞれの取引先に最適な様式で請求書を発送するといった機能も備えています。

SDモジュールで取得した売り上げのデータは、FIモジュールへ自動的に送信されるため、会計管理も効率化されます。

さらに、SDモジュールで蓄積した取引記録などのデータをビジネスインテリジェンス(BI)ツールと連携させることで、売上予測を行うことも可能です。

在庫購買管理(MM)

在庫購買管理(MM)モジュールは、品目計画・管理、購買管理、入出庫管理、在庫管理、請求書照合という、在庫購買管理のすべての業務に対応しています。

MMモジュールを活用することで、在庫の状態を正確に把握し、余剰在庫を減らし、資材所要量計画に基づいて自動発注処理をするなど、在庫管理や発注業務を効率化することが可能です。

また、入出庫については、廃棄出庫や購買入庫、製品出庫といった区分別に処理され、FIモジュールと連携することで区分別の会計仕訳を行うことができます。

生産管理(PP)

生産管理(PP)モジュールは、企業の生産プロセスにかかわる管理機能全般を備えており、資材所要量計画に基づく生産指示や生産工程の管理、生産実績の計上と原価モジュールへの連携などを行います。

一般的な製造業では、計画する生産量に必要な資材が計算され、それに基づいて計画手配が行われます。PPモジュールは、その計画手配を製造指図に変換し、それに従って生産工程の管理を行い、製造完了後は製品を利用可能在庫として入庫処理します。

また、使用した原材料の実際の量や、実際の生産量、実際に各作業工程にかかった時間は製造実績として登録され、COモジュールにおける原価管理に利用されます。

人事管理(HR)

人事管理(HR)モジュールは、企業内における人事業務や人材管理業務全般をカバーします。

給与計算や福利厚生の使用状況、勤務時間の管理、組織内の配置といった一般的な人事業務を効率化し、ERP内のデータとして保管します。

また、人的資本管理(HCM:Human Capital Management)に対応する機能として、タレントマネジメントやパフォーマンス管理なども備えています。さらに近年は、「SAP SuccessFactors」がSAPグループ製品に加わり、従業員満足度の向上や人的資源の有効活用を目指すヒューマンエクスペリエンス管理 (HXM)を想定した機能も追加されました。

SAP S/4HANA環境では、既存のHRモジュールからSAP SuccessFactorsへの移行も可能です。

プロジェクト管理(PS)

プロジェクト管理(PS)モジュールは、プロジェクト全体を構造化し、計画・実行・完了までのライフサイクルを管理します。

主にインフラ業界や建設業界、製造業界で活用されることが多いモジュールです。こうした業界では、建設計画や補修計画など年単位の長大なプロジェクトが頻繁に立ち上がるため、プロジェクトの全体把握と最適化のために活用されています。

PSモジュールを使用することで、工期と予算配布の最適化や実績の一元化が可能になるため、プロジェクトの進捗状況を定量的に把握しやすくなります。

プラント保全(PM)

プラント保全(PM)モジュールは、プラントの保守運用フェーズを管理します。

プラントの保守運用では、保全作業の特定・プランニング・スケジューリング・作業実施・完了確認・実績管理といったライフサイクルが存在します。

PMモジュールを活用することで、各フェーズの具体的な指図の内容や全体の進捗状況を一元的に管理できるようになります。

品質管理(QM)

品質管理(QM)モジュールは、購買や生産によって入庫した在庫全般に対し、品質検査を計画・実施します。

品質計画・品質検査・使用決定という3つのプロセスで構成されており、あらかじめ検査項目や検査日を登録しておくことで、自動的に検査計画が実行されます。

また、品質検査が完了していない在庫はSAP ERP内でブロック状態(使用不可状態)にすることもでき、品質検査と在庫ステータスを連動させた高度な在庫管理が可能です。

拡張倉庫管理(EWM)

拡張倉庫管理(EWM)モジュールは、分散・複合倉庫における多品目の在庫管理や、ロケーション管理、人員計画などにも対応した高度な倉庫管理機能を提供します。

もともとは独立した外部機能として提供されていましたが、SAP S/4HANA内のモジュールとして統合されました。

EWMモジュールでは、SAP S/4HANAの主要モジュールとシームレスに連動し、製造指図や購買発注を受けて、リアルタイムな在庫状況を提供します。さらにSAP S/4HANAでは、在庫同期機能が新設されたことにより、PPモジュールやMMモジュールとの完全な在庫連動が可能になりました。

生産計画/詳細計画(PPDS)

生産計画/詳細計画(PPDS)モジュールは、詳細な生産日程計画や作業順序計画を立案・管理します。

前述のEWMモジュールと同様に、SAP S/4HANAで統合された機能群です。時間的な制約や、部材の確保状況を考慮した生産日程計画の立案などが可能です。

また、オーダーごとの優先度や生産ラインの段取替えなども加味して、具体的な作業順序計画を立案します。

SAP S/4HANAに統合されたことでマスタデータやトランザクションデータの利活用がスムーズになり、計画と実行のリアルタイムな連動や業務効率化が可能になりました。

参考記事

SAP S/4HANAが提供する新たな価値

こうした多様なモジュールで構成されるのがSAP社のSAP ERPです。また、2015年からは「SAP S/4HANA」と呼ばれる次世代型ERPパッケージへの置き換えが奨励されています。

SAP S/4HANAでは、カラムストア型のリレーショナルインメモリデータベース「SAP HANA」を動作基盤としています。

このインメモリデータベースを全面的に採用したことで、従来のSAP ERPに比べて圧倒的に高速なデータ処理を実現できるようになりました。前述の各モジュールが提供する機能のほぼすべてが高速化されるため、リアルタイムな業務プロセスの把握とスピーディーな経営判断が可能になります。

このことを裏付けるように、前述の各モジュールにおいてもリアルタイム性や実行速度の向上が実現されました。

例えば拡張倉庫(EWM)モジュールでは購買発注や製造指図と倉庫の完全なる同期が可能になり、購買発注・製造指図・出庫といった一連の業務プロセスがより円滑に進むようになります。また、生産計画の具体化・精緻化やMRP(資材所要量計画)のリアルタイム化も進むでしょう。

さらに今後は、機械学習・AI・IoT・ブロックチェーンといった先端技術を活用するためのコアプラットフォームとしても期待されています。

SAP S/4HANAを活用してDXを実現

次世代型ERPであるSAP S/4HANAには、これまでSAP ERPが培ってきた機能群が内包されています。

また、インメモリデータベースによる高速な処理や、外部機能の融合によって業務効率化や高度化、自動化も視野に入れたまったく新しいソリューションです。

今後はSAP S/4HANAのような次世代型ERPの活用が、DX(デジタルトランスフォーメーション)におけるスタンダードになるのかもしれません。

関連サービス

関連資料

  • 基幹システムソリューションガイド(大全)

    NTTデータ グローバルソリューションズが提供するお客様のDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するためのソリューションガイドです。ぜひ、ご一読ください。 ダウンロード

  • DXを実現するSAP S/4HANA🄬新規導入

    デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するための基盤としてSAP S/4HANA🄬が注目を集めている。しかし、SAPS/4HANA🄬の新規導入にはいくつかの押さえるべきポイントがある。NTTデータ グローバルソリューションズが、SAPS/4HANA🄬を活用した基幹システムの最適な導入に向けてどのように支援し、DX推進を実現するをご提案します。 ダウンロード

  • 2層ERPで実現する事業サイズに見合った経営基盤構築

    SAP Business ByDesignは、事業の目的やサイズを考慮したSaaS型のERPです。NTTデータ グローバルソリューションズは、SAP Business ByDesignに関する豊富な知見とグローバルでの導入実績を有しており、SaaS型のメリットを企業が最大限引き出せるよう支援を行います。 ダウンロード