SAPのソリューション

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企業情報

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ERPにおける会計とは?グローバル時代における会計対応について分かりやすく解説

SAP社のSAP S/4HANAをはじめとするERPパッケージには、企業会計に必要な「財務会計」や「管理会計」といった機能に加え、決算管理、税務管理が標準として搭載されています。しかし多くの企業では、事業の多角化やグローバル化、そして多様化によって、企業会計はますます複雑化し、そして煩雑さといった課題を抱えています。

そこで今回は、企業会計から、ERPパッケージと会計に特化した会計ソフトウェアの違い。そしてグローバル時代における会計対応についてに本コラムで解説します。

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企業会計とは

企業会計は、「財務会計」と「管理会計」に大別されます。どちらも、企業経営にとって欠かせないものですが、利用目的には明確な違いがあります。

財務会計は、株主や金融機関など社外の利害関係者に、業績を把握してもらうために作成するもので、「情報提供機能」と「利害調整機能」の2つの機能があります。前者は文字通り株主をはじめとする利害関係者に対して、経営に関する情報を提供するものです。また、株主から経営を任され、会社の利益を最大化する義務が課されている経営陣が、自分の利益を最優先してしまうことがないよう、財務会計に基づく報告が必要とされています。これを財務会計の利害調整機能と呼んでいます。財務会計のために作成される書類は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などがあります。このようなデータは、確定申告のため税務署に提出する必要があり、国内制度に則った処理が求められます。

一方、管理会計は、外部ではなく社内向けの会計です。主に経営陣が経営の現状を把握し、経営判断を行うための内部資料という位置づけです。したがって形式には特に基準や制限はなく、企業ごとに分析やレポートの軸を検討して作成します。


ERPパッケージと会計ソフトの違い

会計ソフトは、当然ながら会計のみに特化したソフトウェアです。会計に限っていえば、会計ソフトとERPパッケージの機能には重複するものがありますが、ERPパッケージの会計機能と会計ソフトでは、その目的が大きく異なります。

会計ソフトは、貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書を作成し、企業の財務健全性を分析するために役立ちます。しかし、会計ソフトでは製品の販売状況、製品や部署毎の利益率、販売目標に対する達成度など、会計以外の情報を入手することはできません。財務管理だけでなく、サプライチェーン管理や顧客管理などの企業に関わる情報の全てを一元管理するERPパッケージと比較すると、管理会計ソフトで可視化できるビジネス領域は限定的です。また、受発注や生産、在庫、販売の管理が、会計ソフトとは別のソフトで管理されている場合、例えば在庫管理システム、販売管理システム、会計システムそれぞれで入力や処理に手間が発生し、そこで入力ミスが発生するリスクも高まります。

さらに、海外に拠点を持つ企業にとっては、多言語・多通貨や各国ローカル要件への対応、勘定科目の統一など、会計処理において必要な機能が複雑になります。なお日本の会計ソフトの多くは、各国ローカル対応していないものも多く、こうした会計ソフトで海外拠点の会計処理を行うのは現実的とはいえません。


SAP ERPにおける会計領域の機能とメリット

SAP社が提供しているERPパッケージは、モジュールという業務分野ごとの機能群で構成されます。

例えば、財務管理のモジュールとしてFI(Financial Accounting)、管理会計のモジュールとして CO(Controlling)があります。また、在庫購買管理のモジュールMM(Material Management)、生産管理モジュールPP(Production Planning and Control)、そして販売管理モジュールSD(Sales and Distribution)などがあります。

月次での貸借対照表や損益計算書の作成を行う会計ソフトと異なり、FIモジュールはリアルタイムの財務状況を確認できます。また、各国の会計基準や法制度、税制度に対応していることが特徴です。そして、間接費や製品原価の管理、収益性分析など管理会計に対応するCOモジュールを活用すれば、製品や部門ごとの利益率を分析することも可能です。

SAP社の次世代ERPである「SAP S/4HANA」で提供されている財務管理ソリューション「SAP S/4HANA Finance(旧 SAP Simple Finance)」は、ユニバーサルジャーナルと呼ばれる新たな統合明細テーブルが用意されました。これにより、これまで複数の帳簿(テーブル)があることで生じていた冗長性を無くし、作業時間の短縮化とパフォーマンスが向上を実現しています。さらに、これまでモジュール間でバラバラだった分析の粒度や項目、データ更新タイミングが、ユニバーサルジャーナルに統合されることにより、複数モジュールをまたがって行う分析がより使いやすくなっています。これは、インメモリデータベースを利用した統合型ERPパッケージであるSAP S/4HANAのメリットといえます。

また、「SAP S/4HANA Finance」における資金管理領域でも、銀行口座残高や為替エクスポージャーをリアルタイムで可視化する機能や豊富な資金計画機能が利用できるほか、グループ経営管理基盤の構築に向けた新しいアプローチであるセントラルファイナンスなど、単なる会計システムではなく、グループ経営管理基盤として活用するための機能が搭載されています。例えば、ローカル決算とグループ決算を組み合わせる連結機能によって、グループレベルの財務レポート作成スピードや精度、またグループ全体での透明性を改善することができます。

最後に税務処理の精度を維持するためのチェック機能、大量トランザクションのスクリーニング、間接税のコンプライアンスサポートなど、コンプライアンス管理を効率化するための機能も充実しています。リアルタイムの不正検出ができるだけでなく、検知方針を調整やシミュレーションにより誤検知を最小化することが可能です。不正管理を一元化することで調査と監視の最適化を行うこともできるため、企業のリスクおよびコンプライアンス管理にも有効なソリューションです。


グローバル化に伴う会計課題

企業のグローバル化に伴い、特に財務会計も複雑化が進んでいます。海外に拠点を持つ企業にとっては、多言語・多通貨への対応のほか、国や地域で異なる要件への対応や勘定科目の統一、会計処理の作業が煩雑になることは避けられません。各拠点でばらばらの会計基準を適用するのではなく、約120の国と地域で採用されている国際会計基準(International Financial Reporting Standards 以下 IFRS)を導入すれば、海外子会社を含む全ての拠点間で、業績の正確な把握と比較が可能です。

日本の会計基準に不慣れな外国の投資家に対しても、企業の財務状況を説明しやすいというメリットがあります。買収した企業の価値が減らない限り、「のれん代」が費用として計上される日本の会計基準とは異なり、IFRSのルールは積極的にM&Aを仕掛ける企業に適しています。IFRSが義務化されていない日本においては、2021年1月時点で、東証に上場する217社がIFRSを適用済で、加えて10社が今後適用予定です。

しかし、IFRSを適用するのは決して容易なことではありません。IFRSは原則主義を採用しており、解釈や実務の指針が細かく定められていません。そのため、説明責任を果たすために大量の注記を付記することが求められます。また、規定自体も頻繁に改訂されるため、その都度対応するためには事務コストが発生します。

こうした課題を解決するのに有効なのが、SAP社が提供する財務管理ソリューション「SAP S/4HANA Finance(旧 SAP Simple Finance)」をはじめとする、ERPシステムの会計ソリューションです。


グローバル時代における会計対応とは

SAP社は、IFRS対応をサポートするためのテンプレート「IFRS Starter Kit」を提供しています。これを利用することで、データ収集から連結処理、レポーティングまでを迅速に行うことが可能です。また同様に、収益管理ソリューションである「SAP Revenue Accounting and Reporting」は、IFRSを含む複数の会計基準に対応しており、日本会計基準や米国会計基準から、IFRSへの移行を円滑に実現することが可能です。

そして、SAP社の連結会計ソリューションである「SAP Financial Consolidation」には、複数の会計基準の連結を実現するための機能が備わっており、連結の範囲やルール、適用する勘定体型などを任意に組み合わせることができ、複雑化する会計処理を一つのシステム基盤で実現することが可能です。財務会計を含む経営情報をリアルタイムに一元管理する、という観点では、世界各地に展開する全拠点を一つの組織とみなし、一つのERPシステムで管理する形が有効です。

しかし、拠点ごとに事業内容が大きく異なっている点、また独特の商習慣に対応する必要があるといった場合は、単一のERPシステムの導入が、特定の拠点にとって大きな負担になってしまう場合があります。この課題に対しては、本社と海外拠点で別々のERPシステムを導入し、それを連携させる「2層ERP」という手法を採用することで、柔軟性を確保しつつ、経営情報の一元管理を実現することができます。

例えば、本社のコアERPとして「SAP S/4HANA」、2層目には、「SAP Business ByDesign」を導入することで、低コストかつ短期間に全体最適を実現することができ、海外拠点の事業が成長した場合は、1層目のERPシステムに移行することも容易です。

このように、IFRS対応など豊富な機能を備えたERPシステムの会計ソリューションを活用することで、複雑化する財務会計処理を円滑に実施することができます。また、2層ERPを利用すれば、市況の変化や経営戦略の変更にあわせ、拠点ごとに適切なERPシステムを柔軟に選択することが可能です。

企業経営においてグローバルでの全体最適が求められる今、ERPシステムを会計に活用するメリットはますます高まっているといえるでしょう。


目的に応じたソリューションを選択

このように、ERPベンダーが提供する会計ソリューションには、一般の会計ソフトウェアでは対応できない様々な機能や分析ツールが用意されています。また、ERPパッケージには、特定の業界のニーズに合わせた業界固有のテンプレートが用意されており、自社の業界にあったテンプレートを組み合わせて利用できる点も、一般の会計ソフトウェアには無いメリットです。

基本的な財務データの把握や報告書の作成が目的であれば、会計ソフトウェアで十分かもしれません。しかし、海外も含めた複数拠点において、会計だけでなく企業活動にかかる様々な情報をリアルタイムで可視化し、迅速な意思決定を行うことが目的であれば、会計ソフトウェアではなくERPパッケージの導入を検討すべきといえるでしょう。


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