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SAP Integration Solution Advisory Methodology(SAP ISA-M)によるハイブリッド統合プラットフォームの要件整理

2022年6月30日

  • DX
新たな価値の実現に向けてDXを推進する中で、オンプレミスシステムとクラウドサービスとの統合する必要性が高まっています。 そこで、今回はSAP社が効率的に統合を推し進める方法論をご紹介します。ぜひ、ご一読ください。

はじめに

デジタルトランスフォーメーション(以下 DX)活用の需要が高まる中、オンプレミスシステムとクラウドサービスとを統合する重要性が増してきており、如何に効率的に統合を推し進めるかが課題になっていると思います。

そのような課題への1つの解決策として、SAP Integration Solution Advisory Methodology(SAP ISA-M)をご紹介します。

SAP Integration Solution Advisory Methodology(SAP ISA-M)とは

SAP ISA-Mは、「Integration Domains」、「Integration Styles」、「Use Case Patterns」の観点で要件の分類を行いながらシステムアーキテクトを合理的に進めるための方法論です。SAP社およびサードパーティの統合技術に対してオープンな方法論ですので、幅広いプロジェクトで活用することが可能です。

「Integration Domains」は統合対象の関係を統合元/先のロケーションで分類したものであり、「Integration Styles」は統合形態を「Process Integration」、「Data Integration」、「Analytics Integration」、「User Integration」、「Thing Integration」等の5つの基本スタイルに分類、「Use Case Patterns」は各Integration Styleのユースケースをビジネス視点で細分化したものです。

本Blogでは「Integration Domains」の分類方法について説明していきます。

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SAP ISA-Mでは以下のような引用を示す記載を明示することで二次利用できるテンプレートが提供されており、本文章中でも図および用語をテンプレート中より引用しています。尚、テンプレート使用にあたっては名称を変更してはならないなどの利用規約がありますので注意が必要です。

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SAP ISA-Mによる要件の整理

SAP ISA-Mは「Assess your Integration Strategy」、「Design your Hybrid Integration Platform」、「Define Integration Best Practices」、「Enable a Practice of Empowerment」の4つのフェーズで構成されています。

其々のフェーズでは、統合要件の整理、採用技術の選定から実装に至るまでの手順や基準の明確化、ベストプラクティスの情報整理、統合ガバナンスを担保する為の組織の構築を行います。

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Assess your Integration Strategyとは

先ずは、1つめの「Assess your Integration Strategy」で、既存システム環境、全体方針/将来像を整理することになるのですが、今回は本フェーズ内の「Integration Domainsの整理」について説明します。

ここでは統合対象をロケーションでグループ化します。ロケーションは主に「クラウド」、「オンプレミス」、「ユーザセントリックアプリ(UI/UXなど)」、「現実世界(IoTなど)」の4つに分類されますが、同じロケーション内でも、統合対象の特性を加味し「SAP製品/3rdパーティ製品」などで、より細かくグループ分類します。

その上で、統合対象間が連携するDomainを整理します。SAP ISA-Mではこの統合対象間の関係をIntegration Domainsと呼び、「OnPremise2OnPremise」、「OnPremise2Cloud」など7種類を規定しています。

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オンプレミスで稼働している既存システムの一部をクラウドサービスに移行する際のAs Is(現状)とTo Be(将来像)の例を用い、Integration Domainsで整理した図を説明します。

<As Is(現状)>

旧来からのSAP HRシステムとSAP S/4HANAシステムがオンプレミス上にあり、それをユーザはIaaS上に構築された人事フロントエンドシステムにアクセスして利用しています。尚、IaaS上のシステムについてもOn-Premiseに分類します。

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現状では「User2OnPremise」と「OnPremise2OnPremise」のIntegration Domainsで連携されていることが整理されました。

<To Be(将来像)>

旧来からのSAP HRシステムと人事フロントエンドシステムを廃止し、SaaSとして提供されるSAP SuccessFactorsに置き換え、ユーザはSAP SuccessFactorsにアクセスするようにします。

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将来像では、Integration Domainsが「User2Cloud」と「OnPremise2Cloud」に変更されることが分かります。

今回は扱っていませんが、統合を行うテクノロジはIntegration Domainsをサポートしていることが必要になるので、ここで整理したIntegration Domainsは統合テクノロジ選定における条件として活用されることになります。

上記は単純化した例ですが、対象システムが増えた場合でもIntegration Domainsを用いて整理することで複雑になりがちな構成図も非常にシンプルな形で纏め上げることが可能になります。

終わりに

オンプレミス上のシステムの一部をクラウドサービスに変更する際に、SAP ISA-Mを使ってIntegration Domainsを整理した件ついてご紹介しました。

SAP ISA-Mは、ハイブリッド統合プラットフォームの設計に活用するためのガイドラインからシステム統合を組織的に運用するための体制およびプロセスの整備まで広範囲をカバーしますが、それらについては別の機会があれば扱わせていただきたいと思います。

SAP ISA-Mではテクノロジに依存しない形で統合要件を整理するベンダーニュートラルな方法論になっています。

SAP ISA-Mを活用する為には個々の統合テクノロジの知識も別途必要になりますが、一方で、検討段階から実装に至るまで特定のテクノロジに依存しない統一的なやり方ができるメリットがあります。